2024年8月24日
※文化時報2024年6月14日号の掲載記事です。
真宗佛光寺派は6日、本山佛光寺(京都市下京区)で「僧伽(さんが)に学ぶ研修会」を開いた。障害のある子やひきこもりの子と家族への伴走型支援を目指す一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事)の理事兼アドバイザー、藤井奈緒氏が「お寺ができる『親なきあと』―伴走から看取(みと)り・弔いへ」と題して講演した。
4月30日から全3回にわたった連続講座の最終講で、この日は31人が聴講。障害のある子やひきこもりの子の親が面倒を見られなくなる「親なきあと」に必要な備えと公助の現実、宗教者の役割や分かち合いの大切さを学んだ。
重度の知的障害のある長女(21)と不登校の次女(15)の母親である藤井氏は、親なきあとの不安について家族らの声を代弁。生活費や金銭管理、住まいや身の回りの世話から子どもの終末期医療や葬儀・納骨まで、憂いは尽きないと話した。
その上で「親の代わりは存在しないが、親なきあとの備えは親にしかできない」と強調。遺言の作成や「助けて」と言える仲間づくりの重要性を説いた。
また、福祉職や医療職、行政や法律職などの支援は「課題解決型」だと指摘。制度の網からこぼれ落ちてしまうことや、解決できない不安や苦しみに対応できないことを課題に挙げた。一方で当事者につながり続けることを目指す「伴走型」支援を、宗教者の担う役割と捉え「課題解決型と伴走型は、支援の両輪」と伝えた。
お寺と教会の強みについては、ずっと同じ場所にある安心感や、非営利で公平なこと、担当者の異動がなくいつでも連絡できることなどを挙げ、「心の寄る辺として、悩んだ時に話を聞いてもらえる場所だ」と語った。
小野木代表理事はあいさつで「全国約7万7千カ寺への当事者たちの期待は大きい。少しでも親なきあとに関心を持ってもらえれば」と呼び掛けた。