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お寺で住民と避難所運営学ぶ 浄土宗願生寺

2024年8月31日

※文化時報2024年6月18日号の掲載記事です。

 浄土宗願生寺(大河内大博住職、大阪市住吉区)は1日、地域住民と共に緊急時の対応などを考える第2回防災ワークショップを開催した。住民7人と医療的ケア児=用語解説=の母親3人が参加。防災看護を専門とする亀井縁・四天王寺大学教授の指導で、避難所運営ゲーム(HUG)を行い、緊急時の対応を住民自ら考えた。

 願生寺では、災害発生時にお寺を活用する「願生寺防災プロジェクト」を2021年10月に開始し、医療的ケア児の1次避難所としてお寺を機能させることにした。顔の見える関係性を築く必要から、要配慮者と地域住民の交流イベントなどを行っている。

 HUGは2007(平成19)年に静岡県危機管理局が企画・開発した防災カードゲーム。避難者の年齢や国籍など、それぞれの人が抱える事情が書かれたカードを、避難所に見立てた平面図に配置し、出来事に対応する。実際に避難所が開設された場合を想像しながら話し合う。

避難所運営ゲーム(HUG)について説明する亀井教授
避難所運営ゲーム(HUG)について説明する亀井教授

 HUGの前には、一つの町会の代表が、過去3年にわたり独自に行った防災訓練について発表。別の町会の住民から質問が相次ぐ一幕もあり、亀井教授は「前回よりも防災意識が高まっている」と評価した。

 大河内住職は「二つの町会で地域防災を主導するキーパーソンを互いに認識できるようになった。行政区分で仕切られた町の人々をつなぐ中間団体として、お寺が機能することに意味がある」と話した。

医療的ケア児支援へ前進

 今後のワークショップでは、医療的ケア児について考える機会をつくる。住吉区役所や住吉区保健福祉センターの職員を招き、要配慮者の支援制度や医療的ケア児の避難計画について講演してもらうほか、医療的ケア児の保護者に、緊急時の課題や地域住民への期待を語ってもらう。

 さらに、ワークショップに参加する地域の拡大を検討。防災意識を高める取り組みを広範囲で進めることで、要配慮者が地域とつながれる環境を整える。

参加した住民は、避難所に見立てた平面図にカードを並べながら、運営方法に頭を悩ませた
参加した住民は、避難所に見立てた平面図にカードを並べながら、運営方法に頭を悩ませた

 今回は、地域住民の主導で進められたこともあり、地域外に住む医療的ケア児の保護者が、話し合いに積極的に参加することができなかった。地域事情が把握できないためだ。

 大河内住職は「今後の取り組みを通じて、地域防災の担い手と要配慮者が互いにつながりを意識できるようにしていきたい」と話した。

【用語解説】医療的ケア児

 人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、 痰(たん)の吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童。厚生労働省科学研究班の報告では、2017(平成29)年時点で全国に約1万8千人いると推計されている。社会全体で生活を支えることを目的に、国や自治体に支援の責務があると明記した医療的ケア児支援法が21年6月に成立、9月に施行された。

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