2024年12月5日
※文化時報2024年10月4日号の掲載記事です。
真言宗大覚寺派成福院(今井弘道住職、兵庫県宝塚市)は9月22日、一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事、京都市下京区)の支部開設後初となるイベント「親あるあいだの語らいカフェ」を開催した。彼岸会の行事と合わせて開催し、20人が参加。三つのテーブルに分かれ、じっくりと話を聞き合った。(松井里歩)
成福院は、兵庫県内では初めてとなる同財団の支部「お寺と教会の親なきあと相談室 宝塚市成福院支部」を4月に開設。同財団が全国18支部に開催を呼び掛けている「親あるあいだの語らいカフェ」の趣旨に賛同し、準備を進めてきた。
成福院には、普段からさまざまな悩みを抱えた人々が集う。上智大学グリーフケア研究所でグリーフ(悲嘆)ケアについて学んだ寺庭婦人の今井薫さんが「寺カフェ」を開いており、昨年から漫画家の細川貂々(てんてん)さんが主宰する「生きるのヘタ会?」「凸凹ある会?」も行われている。
この日は、普段は「生きるのヘタ会?」に参加している人も彼岸会の法要から訪れ、ひきこもりの子や知的障害の子を持つ親たちと共に、それぞれの思いや悩みを語り合った。
あるテーブルでは、生活保護や障害者手帳などを受け取るほど重度ではなかったり、行政機関へ足を運べなかったりする子には支援が届かず、生きづらさを抱えがちだという声が上がった。その上で、親同士が語り、つながる場の大切さを確認し合った。
ダウン症の子がいる永見博樹さんは「皆さん境遇は違うが、同じだと思うこともあった。自分より若い方と話すことで、親としての将来の姿を見せることにもつながったのではないか」と話していた。
薫さんは「貂々さんの会も寺カフェも、それぞれの役割はあるが、話す内容は共通している。悲しみや喪失感を安心安全な場所で話してもらえるような場所が提供できてよかった」と笑顔を見せた。
次回の語らいカフェは12月22日で、釈尊が悟りを開いたことを祝う成道会に合わせて行う。今後は、お寺の行事に合わせて年4回程度の実施を予定している。