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生きることば

よくねむったあとでは、人間でも蛙でも…

2022年9月14日

よくねむったあとでは、
人間でも蛙でも、きげんがよくなるものであります。
――児童文学作家、新美南吉(1913~43) 『二ひきのかえる』より

 童話『二ひきのかえる』の締めくくりの言葉です。

 このお話は、2匹のカエルがお互いの体の色をののしり合うことから始まります。春になったらけんかの続きをしようと約束して冬眠するのですが、たっぷり寝て元気な状態で目にした相手の体の色の美しさに驚き、仲直りをするというストーリーです。

 この言葉には、休息を取ることが大事であるという教訓が込められているだけでなく、作者である新美南吉の人生観が表れている気がします。

 南吉の残した日記にこのような記述があります。「人間は皆エゴイストである。(中略)自分はエゴイストではない、自分は正義の人間であると信じ込んでいる人間程恐ろしいものはない。かゝる人間が現代の多くの不幸を造っているのである。」

 仏教の八正道=用語解説=には「正見(正しく物事を見る)」という考え方があります。南吉は『二ひきのかえる』を通して「ものを客観的に見ること」を伝えたかったのではないでしょうか。

 人間は、思い込みや立場、状態によってものの見方が変わるので「100パーセント正しく客観的な見方」は存在しないといえます。しかし、人それぞれのものの見方があって、他の人も同じように見ているわけではないと自覚することが、良い人間関係をつくる上で大切なのかもしれません。

八正道(はっしょうどう=仏教全般)

 苦を滅するために示された八つの実践方法。正見(正しい見解)、正思(正しい思惟)、正語(正しい言葉)、正業(正しい行い)、正命(正しい生活)、正精進(正しい努力)、正念(正しい思念)、正定(正しい精神統一)をいう。

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