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生きることば

自分の国だけの平和はあり得ない

2024年10月15日 | 2024年10月15日更新

自分の国だけの平和はあり得ない

――元国連難民高等弁務官、緒方貞子(1927~2019)

生きることば

 2025年は、「戦後80年」と「昭和100年」の年です。

 昭和は1926年12月25日から1989年1月7日まで続きました。

 昭和の初めには軍事大国だった日本は、第2次世界大戦で敗北し連合国軍総司令部(GHQ)の支配下に置かれました。そこから現在に至るまでの80年間、日本に「平和」な時代が訪れました。

 しかし現在の私たちは、本当に戦争が起こっていない「平和」な時代を生きていると言えるのでしょうか?

 冷戦の時代には朝鮮戦争、ベトナム戦争のように、日本を取り巻くアジアでも戦争が起きました。

 そして現在でも、ウクライナやパレスチナ自治区ガザなどで紛争が続いています。

 「自分の国だけの平和はあり得ない。世界はつながっているのだから」——以前もご紹介した日本人初の国連難民高等弁務官、緒方貞子さんが残した言葉です。

(「熱い心と、冷たい頭を持て」――元国連難民高等弁務官、緒方貞子)

 緒方さんは難民保護活動が世界平和の構築につながると信じ、さまざまな地域で人道支援を行いました。

 緒方さんの原動力となったのは、自分の利益のみを追い求めず他者の幸せに尽くす「忘己利他」の心だったのではないでしょうか。

 聖書の有名なエピソードに「善きサマリア人のたとえ」というものがあります。「隣人を自分のように愛しなさい」というキリスト教の教えについて、イエス・キリストが語ったたとえ話です。

 ある学者に「愛すべき『隣人』とは誰のことか」と問われたイエスは、こう聞き返しました。

 「ある旅人が盗賊に襲われて道に倒れていた時、2人の人がその横を素通りした。最後に通りかかったサマリア人は旅人を介抱した。この3人のうち、旅人の隣人となるのは誰か」

 学者が「慈悲深い行いをした3人目だ」と答えるとイエスは「あなたも同じようにしなさい」と言いました。

 「隣人」は、同じ国に住む人だけとは限らないのです。

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