2026年1月28日
※文化時報2025年11月28日号の掲載記事です。
ユニークな活動をする僧侶らの話を聞き、地域社会について考える「第2回オモロー寺子屋発表会」が8日、大阪市天王寺区の浄土宗銀山寺(末髙隆玄住職)で開催された。登壇者5人がそれぞれの活動や地域との関わり方を発表し、参加者約20人が耳を傾けた。(坂本由理)
同市北区の浄土宗蟠龍寺の太田竜祐住職は、2018(平成30)年からおてつぎ運動=用語解説=本部が推進する「サラナ親子教室」を開いている。何かを教えるのではなく、ただ親子が楽しく過ごす場所として、絵本の読み聞かせやボール遊びのほか、月見団子のお供え体験など季節に合わせたイベントを行っている。
「いつも世間に謝ってばかりのお母さんたちに、お寺にいる時くらい穏やかに過ごしてほしい」と話し、母親らがおしゃべりをしている間、子どもたちと全力で遊ぶ様子を写真で紹介した。
認知症アドバイザーの奈須誠二さんは、ニュースポーツ「ミニらいとモルック」の普及に当たっている。木の棒を投げ、倒れたピンの数字の合計が50になったら勝ちというフィンランド生まれのモルックを小型化したスポーツで、銀山寺では毎週行われている。奈須さんは「子どもを安心して遊びに行かせられるし、お寺も地域活性化に貢献できる」と意義を強調した。
仏教僧で自称「無職」の小野龍光さんは、年商100億円超のIT企業の元トップ。数字を追いかける生き方に苦しみ、引退してインドを旅している最中に、現地で仏教を広める佐々井秀嶺氏と出会った。
常にドアを開け、誰にでも会い、目の前の人の言葉に誠心誠意耳を傾ける佐々井氏の生き方に感銘を受け、2022年に得度した。「佐々井さんのようになれるとは思わないが、下を向きがちな日本人の灯になれれば」と語った。

同市天王寺区の浄土真宗本願寺派長願寺の新發田(しばた)恵司住職は、臨床宗教師=用語解説=としての経験を通し、死を前にした人にとって、僧侶が「そこにいる」だけで救いになっていると気付いたという。経験を地域に還元したいと始めたまちの保健室=用語解説=や「生魂(いくたま)あんのんカフェ」の活動について紹介した。
障害のある中野貴仁さんは、お寺などでさまざまなボランティア活動に参加している経験を披露した。
参加者と登壇者が対話する「わっかトーク」では、お寺の未来などについて語った。末髙住職が「皆さん神社には堂々と入って行けるのに、街中のお寺には入ってくれない」と悩みを打ち明けると、参加者からは「子どものころに入ったことがあるかどうかではないか」「『人の家に入っていく』という感覚があって、遠慮してしまう」などの声が上がった。

銀山寺が主催する体操教室に参加している60代の夫婦は「お坊さんたちがこんなに私たちのために活動してくれているとは知らなかったので感動した。知り合いにも紹介したい」と話していた。
オモロー寺子屋を企画した株式会社ココロCEOの片山誠さんは「気軽にお寺の活動を知らせる機会を増やしたい」と語った。
【用語解説】おてつぎ運動(浄土宗)
法然上人の教えを人から人へ伝えようとする総本山知恩院の教化活動。浄土宗第2祖の聖光上人が著書『末代念仏授手印(じゅしゅいん)』で、「秘法を録するの状、手次をもってす」と、手から手へと念仏の教えを伝える姿を示したことに由来する。
【用語解説】臨床宗教師(りんしょうしゅうきょうし=宗教全般)
被災者やがん患者らの悲嘆を和らげる宗教者の専門職。布教や勧誘を行わず傾聴を通じて相手の気持ちに寄り添う。2012年に東北大学大学院で養成が始まり、18年に一般社団法人日本臨床宗教師会の認定資格になった。認定者数は25年3月現在で211人。
【用語解説】まちの保健室
学校の保健室のように、地域住民が健康などさまざまな問題を気軽に相談できる場所。図書館や公民館、ショッピングモールなどに定期的に設けられ、看護師らによる健康チェックや情報提供が行われる。病気の予防や健康の増進を目的に、日本看護協会が2001(平成13)年度から展開している。