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「文化時報」コラム

⑨看護教育の落とし穴

2022年10月21日

※文化時報2021年12月9日号の掲載記事です。

 ここのところ、長時間乗り物に乗る機会に頻繁に恵まれまして。心地良い振動に身を任せてぼんやりしていたおかげで、いくつか「これは間違いだったかもしれない」という気付きを得ました。 

傾聴ーいのちの叫び 

 一つは、「信頼関係があるから、心の内を話してくれる」ということ。看護学の教科書にも心理学の教科書にも、まずは信頼関係をつくることが大事であると、そして、信頼関係をつくるにはある程度の時間を要すると書かれています。これまでは、私も、その通りだと思ってやってきましたが、ここには案外大きな落とし穴が口を開けているかもしれないと思うに至ったのです。 

 二つは、「自分だったらどう思うか考えて行動する」です。小学生のころ、「○○君が××君をぶった!」などの事件が起こるたびに、先生から「自分がされたらどう思うかを考えて行動しなさい!」とのお説教をいただきませんでしたか? 

 私は生来真面目な性分ですから(?)、すっかりそれが身に付いておりましたが、いや、ここにも大きな落とし穴が口を開けているようなのです。 

 そして三つ、「この経験を人のために生かす」。四つ、「手を握って安心させる」です。 

 どれもこれも、看護業界でしばしば耳にする件なのですが、最近どうも「座りが悪い」と感じるようになっていました。 

 さて、いったいどういうことなのか。皆さま方は、もうとっくにお気付きのことと思いますが、あと少し、遅咲きの妙憂にお付き合いくださいませ。 

 特に、「信頼関係があるから、心の内を話してくれる」ということですが、スピリチュアルケアの現場では、その信頼関係を育む”時間”がないことがしばしばあります。初めてお目にかかってお話をして、ではまたお会いしましょうとお約束をさせていただいても、その日を待たずに旅立たれる方が多くいらっしゃるからです。まさに、一期一会。そこには、信頼関係を育むための余分な時間などないのです。

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