2025年6月8日
※文化時報2025年3月11日号の掲載記事です。
コンプライアンス(法令順守)が強く求められる社会になっている。
真偽のほどがよく分からないまま、有名芸能人が突然引退することが続いた。また、オンラインカジノに手を出したというプロ野球選手やお笑い芸人が、不祥事を起こしたとして繰り返し報道されるようなことも続いた。
もちろん、一般人に向けた注意喚起という面もあるだろう。それにしても度が過ぎてやいないかと首をかしげてしまう。また、違法ではなくても「ハラスメント(嫌がらせ)」という言葉もよく使われるようになった。これが現在の社会である。
この社会の変化に仏教界はついていけているだろうか?
文化時報には「福祉仏教連絡協議会」というネットワークがあり、定期的な勉強会が行われている。先日は、行政書士の資格を持つ副住職の講義があった。
お寺の立場としては檀信徒さんから「私のお葬式を頼みますよ」と言われることもあるだろう。ご本人は本気でそう望んでいるとしても、口約束ではトラブルの元である。その上に葬儀費用を事前に預かるとなれば、なおさら注意が必要である。講義では、法律の専門家に相談して、死後事務委任契約など法的な根拠を作っておくことが勧められた。
お寺を強く信頼している檀信徒さんもいるだろう。口約束で充分に対処できてきただろう。ただし「今までは」である。
コンプライアンスを強く求められる社会であることを忘れてはならない。ハラスメントを強く非難される社会でもある。そこを意識しておかないと、思わぬトラブルに発展する可能性がある。
社会の変化に敏感に対応していかないとお寺が社会から取り残されていくことになる。対応するためにキーワードとなるのは「他職種連携」であろう。特に医療、介護、法律の専門職との関わりは日常的にしておきたい。わざわざ出掛けなくても、今はオンラインでつながることはできる。どう使うかだけである。