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「文化時報」コラム

⑫誰が満足しているのか

2022年11月15日

※文化時報2022年2月11日号の掲載記事です。

 先日、ひきこもりの子を抱える親の勉強会に、ある親御さんと出席しました。その日は、8人ほどの方(たまたまかもしれませんが、全員母親)がお集まりでした。 

 講義をしてくださったカウンセラーさんは、ご自身が10年にわたるひきこもりを経験し、さらに子どもさんも10年以上ひきこもっていた、というバリバリの実体験者でした。それだけに、絵空事ではない実のあるお話をたくさんしてくださったのですが、どうもモヤモヤするところがあったのです。いくつかあったモヤモヤの種の一つは、こんなことでした。 

 あるお母さんのお話です。 

 「うちの息子は、コンビニまで買い物に行くことだけはできて、出掛けていっては、自分の好きな食べ物を買ってきてしまいます。コンビニのものなんて体に悪いし、もっとちゃんとしたものを食べてほしいので、毎食食事を作ってあげています。それをドアの外に置いておくのですが、またいでコンビニに行ってしまうんですよ」 

 一口も食べてくれないので、もったいないから、自分はいつも冷えたご飯とおかずを食べている―。涙ながらに、そうおっしゃいました。 

 このお話をお聞きして、私はもう即座に「今すぐ食事を作るのをやめてあげて~!」と思ってしまったのですが、カウンセラーさんは「お母さん、今が頑張り時。いつか必ず分かってくれるから、その日が来るのを信じて頑張って!」と。その言葉に涙して、深くうなずき合うお母さんたち。なんとも居心地の悪い気分になりました。 

 もちろん、どちらが正しいなどと正誤の議論をするのは、愚の骨頂だと思っています。そもそも答えのないことですから。 

 ただ、私は「ご飯を作ってあげて、それをドアの外に毎食置いて、あげく冷えたご飯を食べて涙する。この図に満足しているのは、いったい誰?」と考えて、大いにモヤモヤしてしまったのです。皆さまは、どうお感じになりますでしょうか。

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