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「文化時報」コラム

〈54〉お花見いろいろ

2023年11月15日 | 2024年10月2日更新

※文化時報2023年4月11日号の掲載記事です。

 4年ぶりのお花見を満喫した。

 3月に入ると、天気予報とにらめっこしながら日時と場所を絞っていく。今年は例年より桜の開花が早く、当初の予定より1週間前倒ししたグループもあったようだが、筆者の所属寺は毎年第1土曜日と決まっている。桜のタイミングはギリギリ。雨だけが心配であった。運良く全ての巡り合わせがうまくいき、非常に楽しいひとときを味わうことができた。

 筆者が関わる福祉施設は3年のブランクを機にお花見を諦めることになった。以前は天候と開花状況を見ながら「じゃあ明日」と機敏に行動できた。所帯が小さいから可能だったが、今の規模ではそんな急には動けない。

 少なくとも1カ月前から日時と場所を決めておかないと厳しい。雨が降ったら室内でお弁当を食べることになるのだからと、最初から近くのお店で食事会を開く。食事をするだけなら施設内でも可能だが「お出かけ」が大事なのである。

 大人数での行事は機動力が鈍くなるなら、数人のグループにすればという考えもできる。だが、実はこれも難しい。不公平になってはいけないからだ。

 施設として動くなら、自立できる人も車椅子の人も希望すれば参加できるようにしないといけない。機敏に動ける人だけを選んでお花見に行くわけにはいかない。

 ただし、これらは施設側に立った時の理屈である。家族がやってきて、個別にお花見に出かけるなら文句は出ない。文句は出ないけれど、やはり不公平な気もする。家族が来ない人の孤立感が増すばかりであろう。

 施設入所者と一緒にお花見に行くのは家族に限った話ではない。宗教者であってもいいはずだ。ござを敷いてお弁当を持ってなんて大げさに考える必要はない。車椅子を押して近くの公園へ散歩に行くだけでも喜ばれるだろう。

 車椅子での外出も難しい人には、スマホで撮影した写真を見てもらうだけでもいいだろう。一緒に桜を愛でる気持ちがあれば方法はいくらでもある。

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