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「文化時報」コラム

〈60〉お寺の場が持つ力

2024年1月10日

※文化時報2023年7月11日号の掲載記事です。

 毎年夏になると「東本願寺ビハーラネットワーク奉仕団」を開催している。東本願寺内にある同朋会館という宿泊施設で行う1泊2日の研修会である。われわれは「プチ修練」と呼んでいるが、合宿形式の勉強会といった雰囲気である。メインの講義の後、座談会形式で意見交換をしている。

 今年は7月4~5日で、テーマは「真宗寺院とグリーフケア」とした。文化時報の記者も取材に来ていたので、講義の内容は近く紙面に載るだろう。

 真宗大谷派は教師養成カリキュラムにグリーフ(悲嘆)ケアを取り入れている。だからこそ、真宗寺院はグリーフケアとどう向き合えば良いのかを話し合ってみたかった。

 講師には「寺院関係者には耳の痛い話も遠慮なくガンガン言ってください」とお願いしてあった。その通りに厳しい話もしてくれたが、筆者には、お寺に対する大きな期待を込めたエールに聞こえた。参加者にはたくさんの住職もいた。果たしてどう聞こえたのだろうか?

 今回は、東本願寺に初めて来たという女性の参加者が多かった。看護師や介護職といった専門職や他宗派寺族の母娘もいた。そして「楽しかった。来年も来たい」という感想が大半であった。

 日程には仏具を磨く奉仕活動も入っていた。それが「楽しかった」という感想につながっている。そんなに楽しいのならうちのお寺の「おみがき」にも来てほしいものだが、東本願寺という大きなお寺の仏具に触れることに感激したのだろう。

 お寺に出入りするのが当たり前の者には何でもないことでも、そうでない者には新鮮に映ることも多いと、改めて感じた。それは朝夕の勤行も同じである。「厳かな雰囲気が心地よい」という声が多くあった。

 さて、肝心の座談会であるが、残念ながら活発な意見交換にはならなかった。講義の内容があまりにもショッキングだったからかもしれない。

 日程の最後に研修部長のあいさつがあった。「グリーフケアは傾聴とイコールと思っている人が多いが、場の雰囲気がケアとなることもある」と言われた。いやそれは筆者の願望かもしれない。記憶が曖昧になっている。

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