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「文化時報」コラム

④市民権を得ない言葉

2022年9月15日

※文化時報2021年9月30日号の掲載記事です。

 「スピリチュアルケア」という言葉。実はまだ、市民権を得ていないようです。

傾聴ーいのちの叫び

 この言葉が医療・看護の分野に入ってきたのは今から二十数年前のことで、世界保健機関(WHO)が示している「健康の定義」に関連しています。WHOは、人間が健康であるということを「肉体的、精神的および社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」と定義していたのですが、1998年にもう一つ「スピリチュアル」も良好な状態でないと健康とは言えないだろうと提案しました。そこから、スピリチュアル、スピリチュアルペイン、スピリチュアルヘルスといった概念が医療・看護の分野で広く取り入れられるようになり、スピリチュアルケアが始まったのです。

 でも、時を同じくして、日本では”あっち系”のスピリチュアルが大流行しました。つまり、「前世をリーディングする」とか、「オーラを読む」とか「霊が見える」とか。そちらの印象がよほど強いのか、いまだにスピリチュアルケアという言葉は何か怪しい雰囲気をまとい、「つぼを売りつけられるんじゃないか」「だまされるのではないか」と警戒されることがあります。

 何とかスピリチュアルという言葉を分かりやすい日本語に置き換えられないかと、高名な先生方が苦心してくださった結果が、「魂」「全人的」「霊性」などなど。どれもこれも(ここだけの話ですが)、分かりづらいばかりか怪しさを上乗せしているように感じるのは、私だけでしょうか。

 私も、患者さんやご家族の方に、何とか分かっていただこうと難しい言葉を使ってきましたが、最近はやめました。

 スピリチュアルは、誰もが平等に持って生まれてきた小さな箱のようなイメージです。普段は、深層心理の奥深くにしまい込まれて、見られることさえありません。でも、命の限りを突きつけられるようなことが起こると、その箱のふたが開くのです。

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