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「文化時報」コラム

〈66〉不飲酒戒と薬物依存

2024年2月12日

※文化時報2023年10月10日号の掲載記事です。

 40年前の話なのでもう時効だろうと思う。

 高校生が何十人も集まって飲み会をするのは珍しくなかった。筆者の出身地は大阪府南部に位置する泉州地方。「だんじり祭」が盛んな土地である。年に一度のお祭りが終わり、その後に体育祭や文化祭という学校行事が続く。クラスが一丸となって物事に取り組み結束が強まる。そして「打ち上げ」と称した飲み会はごく自然に行われていた(ように記憶している)。

 おそらく今のご時世では、何十人も集まって飲酒しようとしたら店側が止めるだろう。もし仮に高校生が個人宅で飲酒をしたところで大きな社会問題になるだろうか?

 今年8月、関東地方の某大学アメリカンフットボール部の学生が大麻を所持した容疑などで逮捕された。21歳なので実名も報道されていた。犯罪なので警察へ連行され事情を尋ねられるのは当然だろう。

 しかし、テレビや新聞があれだけ大きく報じる必要があったのだろうか? 逮捕された学生の実名は永遠にネット上に残るだろう。なぜ高校生が酒やたばこを口にするのと違う扱いになるのか分からなかった。報道に他の意図があったとしたら、逮捕された学生は犠牲になったということだろうか。

 先日、高知東生さんのトークショーに行ってきた。有名な俳優でありながら覚醒剤を使用して有罪判決を受けた過去がある。

 トークショーでは、薬物依存に関する誤解が社会に蔓延(まんえん)しているという話が展開された。刑務所に収監される人の罪名は、男女とも窃盗に次いで覚醒剤取締法違反が多い(2022年版犯罪白書より)。窃盗も覚醒剤使用も罰を与えれば懲りるという話ではない。大きいのは「環境」である。

 筆者は窃盗や覚醒剤使用を繰り返す人の更生支援を何十人もしてきたが、環境さえ整えば再犯は防げると実証している。「前科者」というレッテルを貼る前に、犯罪に至った経緯を成育歴からじっくり聴かせてもらうのがいいだろう。「不飲酒戒」の意味をもう一度考えてみたい。

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