2023年5月17日
介護事業もビジネスですから営業活動は不可欠です。営業専門の社員がいる大手事業所もありますが、多くの事業所では管理者などのスタッフがケアマネジャーらの元を訪問して利用者獲得に努めています。しかし、介護業界では営業活動に強い苦手意識を持つ人が少なくありません。
ある大手訪問介護事業所でも、各事業所が営業活動を行っていましたが「率先して営業に行かないこと」「営業しても実績に結びつかないこと」が問題になっていました。「営業って、具体的に何をするのかわからない」という声も少なくありませんでした。
そこで、研修で営業テクニックに関する書籍を読んだり、外部セミナーに参加したりしました。そこから学んだ「自社の強みを伝える」「会社やサービスではなく、自分自身を売り込む」などを実践しましたが、なかなか思うような成果は出ませんでした。
こうした中、1人だけ、多くのケアマネからの紹介を獲得するスタッフがいました。「なぜ、そこまで営業成績がいいのか?」との質問に、彼は「高齢者住宅やデイサービスと違い、訪問介護は自社の強みを打ち出すのは難しい」「私自身は実際にサービスを提供しないので、私を売り込んでも仕方無い」と、本やセミナーとは正反対のことを口にしました。
彼が訪問先でケアマネにしていたのは「今すぐ動けるヘルパーが○人います」と伝えてパンフレットを渡すだけ。滞在時間はせいぜい30秒。多忙なケアマネにとって「時間は取られない・必要なことはきちんと伝えてくれる」という理想的な営業スタイルだったことが、紹介につながりました。
答えというものは、本やセミナーの中ではなく、案外こうした身近なところに転がっているものです。