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お寺と福祉の情報局

【今さら聞けない】ウェルビーイングとは

2023年12月12日

▼ウェルビーイング(well-being)
 一人一人が健康である状態。身体的な健康だけではなく、精神的・社会的にも満たされている状態にあることを指す。持続可能な開発目標(SDGs)で17の目標の一つとして掲げられている。人生100年時代に向けて、全ての人が自分らしく健康でいられる社会の実現が図られている。



健康的な高齢者(イメージ画像)
健康的な高齢者(イメージ画像)

 ウェルビーイングという言葉は、世界保健機関(WHO)憲章前文で用いられたことから広く使われるようになりました。ここでは、健康を「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」であると定義しています。この満たされた状態のことを「well-being」と表現しているのです。

 持続可能な開発目標(SDGs)の目標でも、「すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-being)」が掲げられました。今では、ウェルビーイングは世界的に重視されています。

 ウェルビーイングを測るものとしては、ポジティブ心理学に基づくSPIREや、アメリカのギャラップ社の指標などが多くの企業で採用されています。

 ここでは例として、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンが考案した定義、PERMAを紹介します。

 PERMA理論では、以下の五つの要素によってウェルビーイングが構築されています。

   P=Positive Emotion(ポジティブ感情)
   E=Engagement(エンゲージメント)
   R=Relationship(関係性)
   M=Meaning and Purpose(人生の意味や仕事の意義、及び目的の追求)
   A=Achievement(何かを成し遂げること)
   (一般社団法人日本ポジティブ心理学協会ホームページより)

 ここから、ウェルビーイングの向上には、ポジティブな感情、他者との良好な関係性、仕事などにやりがいを感じ没頭すること、達成感―などが必要であることが分かります。

 どのような場面でポジティブな感情を持つのか、何にやりがいを感じるのかは人によって異なります。そのため、一人一人が自らのウェルビーイングに向き合わなくてはなりません。

働き方とウェルビーイング

 日本国内では、主に働き方の面でウェルビーイングの向上が図られています。

 就業面でのウェルビーイングは、自分らしく働くことができている状態を表す概念です。ライフスタイルの多様化に合わせ、自分で働き方を選べることが重要になっています。

 2021年の総務省の人口推計によれば、日本の総人口は前年に比べ64万4千人減少し、減少幅も10年連続で拡大しています。さらに、滋賀県と沖縄県を除く45都道府県では、75歳以上人口の割合が15歳未満人口の割合を上回りました。労働人口の減少によって、従来の働き方では社会が成り立たなくなるでしょう。

 これに備える意味でも、労働者一人一人の仕事に対する充足感を高めることが重視されています。

高齢者のウェルビーイング

 2023年に内閣府が行った「満足度・生活の質に関する調査」によれば、全体的な生活満足度は上昇しています。

 年齢ごとの内訳をみると、ミドル層(40~64歳)はコロナ禍を機に下降傾向にあるものの、若年層(15~39歳)の数値は上昇しています。さらに、高齢層(65~89歳)の生活満足度は高い水準を維持しています。

 しかしこの調査で対象となったのは、15歳から89歳までのモニターです。90代までの高齢者のみを対象にすると、違った結果が見えてきます。

 ベネッセシニア・介護研究所が2023年に行った調査では、60代から90代までを対象に、A)精神的健康、B)生活満足度、C)協調的幸福の三つの指標でウェルビーイングを測りました。その結果、三つ全ての数値が、90代で低下していたのです。

 同調査では、関連要因の「ポジティブな回想」については60代から90代にかけて上昇傾向にありますが、「前向きな未来展望」「地域への愛着」などは、ウェルビーイングと同じく90代で低下していました。

 このことから、高齢者のウェルビーイングは70代から80代にかけて上昇しますが、90代になると低下することが分かります。そしてそれには、将来への展望や地域とのつながりが弱まることが影響しているとみられます。

 2043年には65歳以上の人口がピークを迎えます。この少子高齢化の社会で、高齢者一人一人のウェルビーイングを上昇させることは、今よりも難しくなっていくでしょう。

 人生100年時代に向けて最期まで自分らしく生きるために、個々に合わせたウェルビーイングを模索していかなくてはなりません。

 

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