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お寺と福祉の情報局

誰もが持つ当たり前の欲求 「障害と性」学ぶ

2024年8月5日

 障害のある人の性の悩みに、どう向き合うか―。一般社団法人「親なきあと」相談室関西ネットワーク(藤原由親・藤井奈緒代表理事)は6月27日、大阪市立青少年センター(大阪市東淀川区)で第41回セミナーを開き、「どんな体や心を持つ人にも性は必要」と訴えて全国で活動する小西理恵さんを講師に招いた。

 小西さんは、祖母の介護と看取(みと)りを経て福祉を学び始めた際、障害のある人への性についてのサポートがない現状を知り、2020年9月に一般社団法人輝き製作所(大阪市北区)を設立。当事者や家族、支援者から悩み相談を受けたり、講演を行ったりしている。

 また、社団の活動とは別に、障害のある人を専門にした無店舗型性風俗店(デリバリーヘルス)を運営している。

障害と性について講演する一般社団法人輝き製作所の小西理恵さん
障害と性について講演する一般社団法人輝き製作所の小西理恵さん

 講演で小西さんは、自身が受講した介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の講師の話として、知的障害のある息子の性欲を外に向かわせないよう、母親が誰にも相談できず体で応えていたケースがあったと紹介。「なぜ母親だけが頑張らなければならないのか」という疑問が、活動の原点になったと振り返った。

家族と支援者は抱え込まないで

 輝き製作所は「どんな人も性サービスを受けられるようにすること」をゴールにせず、「全ての人が自分の生きたい人生を自由に選べる社会をつくること」を目指しているという。

 小西さんは、性は「いやらしい」「エロい」と捉えられがちだが、身だしなみやトイレのマナーなど多様なことが含まれると指摘。

 性の学びがなければ、欲求がうまく発散できなかったり、性器の異常に気付きにくかったり、人との距離感が分からなかったりするとして、「幸せな大人になるために、性教育は必要」と訴えた。

「どんな体や心を持つ人にも性は必要」と訴えた
「どんな体や心を持つ人にも性は必要」と訴えた

 その上で、知的障害や発達障害などでコミュニケーションが取りづらい人にも性はあり、「一人の人として尊重されるべきだ」と伝えた。

 また、家族や福祉事業所だけで頑張る必要はないとして、性を巡る多職種連携と話し合い、学びの機会を持つよう提唱。射精介助をするかしないかという判断も、現場のヘルパーが1人で抱え込まないよう求めた。

 最後に小西さんは「性はどんな人にもある当たり前の欲求。全ての人に健全に性を楽しむ権利がある。一人一人の思いやプライバシーを大切にしながら、みんなで学び、話し合える社会にしたい」と力を込めた。

一般社団法人「親なきあと」相談室関西ネットワークのセミナーで、小西さんの話に聴き入る参加者たち
一般社団法人「親なきあと」相談室関西ネットワークのセミナーで、小西さんの話に聴き入る参加者たち

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