2022年10月6日 | 2023年6月9日更新
障害者の親やきょうだいなど親族の立場にある専門家たちでつくる一般社団法人「親なきあと」相談室関西ネットワーク(藤原由親・藤井奈緒代表理事)は9月29日、大阪市立青少年センター(大阪市東淀川区)でセミナーを開いた。新型コロナウイルス感染拡大を受け、対面での開催は2年7カ月ぶり。外資系金融機関に勤務する同ネットワーク相談員の芳賀久和さんが「親なきあとのお金のお話」と題して講演し、25人が参加した。
芳賀さんには双子の息子がおり、2人とも知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害がある。
講演で芳賀さんは、障害者の親には「この子より先に死ねない」という切実な思いがあると強調。「子どものために、何でも自分でやりたいと思うかもしれないが、現実的にはどこかでできなくなる。いろいろな支援者が周りにいて、子どもが幸せに生きていける世界をつくりたい」と語った。
その上で、20歳以降に支給される障害基礎年金などに鑑みると、本人の収入は月額約8万円が目安になると指摘。一方で支出は、グループホームの費用や成年後見人への報酬、趣味、医療費などが想定されるとし、月額5万円程度を上乗せできれば望ましいとの考えを示した。
子どもへのお金の残し方は、一度に大金が入れば犯罪被害に遭う恐れがあるとして、自分が亡くなった後に子どもが受け取る生命保険の保険金を、年金のように毎月定額にする方法があると説明。将来の保険金の管理を金融機関に委ねる「生命保険信託」についても紹介した。
最後に、取っておくべき対策として、子ども名義の預金をやめる▽18歳までに実印を作っておく▽遺言を書いておく―ことなどを挙げた。