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居場所は無料駄菓子屋 ご縁に感謝「こっぷの家」

2025年10月4日

※文化時報2025年7月22日号の掲載記事です。

 子どもたちが無料で利用できる駄菓子屋「こっぷの家」(熊本市東区)が人気を集めている。賛同する大人の寄付を原資とした100円チケットを使って、子どもたちがお菓子を購入し、手紙で感謝を伝える仕組み。店主でCozyRelief(コージーレリーフ)代表取締役の上村真理子さん(38)は、全国のお寺に開いてもらうことを目指しており、「子どもたちと新しいご縁をつくってほしい」と話している。(大橋学修)

ありがとうの手紙

 こっぷの家は「ただの駄菓子屋」ではない。

 店は、住宅の庭の一画に設置されたプレハブの中。チョコレートやスナックなど約100種類の菓子が並び、純喫茶のコーヒーチケットのように、壁に100円チケットのつづりがつり下げられている。それぞれのつづりには、寄付した大人の写真が貼られている。

 無料で利用できるのは、0歳から高校生まで。子どもたちは大人の中から1人を選び、100円チケットをもらう代わりに、「今日、誰をどうやって笑顔にしましたか」「今日、誰にありがとうと言いたいですか」という質問に答える形で、「ありがとうの手紙」を書く。

店内の壁につり下げられた100円チケット。支援者の写真が添えられている
店内の壁につり下げられた100円チケット。支援者の写真が添えられている

 開店したのは昨年の「こどもの日」(5月5日)。毎月、延べ千人の子どもたちが利用しているという。活動に賛同する人も増えており、千葉県内に2店舗目がオープンした。今後も賛同者を募り、全国に活動を広げていく。

 こっぷの家という店名の由来は、水がいっぱいに入ったコップを満たされた心に例えて、「水があふれたときに人は優しくなれる」と考えているから。上村さんは「お母さんや子どもたちの心の水を満タンにして、たくさんの人にやさしくなれる居場所を目指している」と話す。

 

家業から離れて起業

 上村さんは、20代後半まで保育士として働いていたが、会社を経営する両親が2人とも病気になったことをきっかけに、両親の会社に就職した。ただ、子どもと関わる仕事をしたいという思いは持ち続けていた。子どもたちが安心して過ごせる場所が減り、孤立している子が増えていることも気掛かりだった。

 あるとき、岐阜県に寄付金で運営している駄菓子屋があると知り、「これだ」と思った。

 家業から離れ、「感謝教育型の駄菓子屋」の運営を行う会社として、コージーレリーフを設立。実家の敷地にプレハブを置き、知人に支援者になってもらって、こっぷの家を始めた。

プレハブの店舗
プレハブの店舗

 子どもたちの小さな「ありがとう」が、大人たちの心をほぐし、地域に笑顔を広げていく。「子どもたちの自己肯定感を育み、つながりをつくれる地域の拠点にしたい」。これが上村さんの願いだ。

 

お寺での開店へ始動

 上村さんは、新たに駄菓子屋を開く場を求めていたとき、知人から「お寺はどうか」と提案された。つながりの中でそれぞれが存在するという仏教思想「縁起」の話を聞き、「こっぷの家は、子どもたちが縁起を体験する仏教教育の現場にもなる」と感じた。

 「誰かの幸せを願う行為が利他なら、こっぷの家は、それが自然と実践される場になる」。お寺にこっぷの家を開いてもらうため、モデルの検討を始めた。

こっぷの家で子どもたちと話す上村さん(中央)
こっぷの家で子どもたちと話す上村さん(中央)

 境内の一画に販売スペースを設けるだけでなく、お寺の行事と連動した「感謝の手紙ワークショップ」の開催や、お菓子の原資を寄付する大人とお寺がつながる仕組みづくりなどを提案している。

 上村さんは、子どもたちが来る環境があれば親世代が訪れるようになり、さらに地域の人々も集まる場にもなると考えている。「お寺は教えを説くだけでなく、寄り添うことで次世代につながってほしい。檀家制度に頼らない、新たなつながりが生まれれば、お寺の未来を守る仲間が増えることになる」と話している。

 

 

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