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多職種連携に宗教者を 訪問看護啓発に僧侶登壇

2023年1月19日

※文化時報2022年11月22日号の掲載記事です。

 宮城県看護協会(石井幹子会長)は5日、看護師とケアマネジャーを対象にした「訪問看護啓発シンポジウム」を開いた。「『地域で今を生きる、そして生ききる』を支える多職種連携」をテーマに、僧侶3人が登壇。約70人が訪問看護・訪問介護と宗教の連携について学んだ。

看護師とケアマネジャーら約70 人が参加したシンポジウム
看護師とケアマネジャーら約70 人が参加したシンポジウム

 登壇したのは、看仏連携研究会代表で臨済宗妙心寺派僧侶の河野秀一氏、浄土宗願生寺(大阪市住吉区)住職の大河内大博氏、曹洞宗通大寺(宮城県栗原市)住職で日本臨床宗教師会副会長の金田諦應氏。

 河野氏は、医療・介護の現場に僧侶を加えて看取(みと)りやグリーフ(悲嘆)ケアの質を高める「看仏連携」について説明。地域包括ケアシステム=用語解説=によって死の現場が病院から在宅へと移ることにより、地域での看仏連携が必要になると訴えた。

 大河内氏は、2020(令和2)年に開設した訪問看護ステーション「さっとさんが願生寺」を起点に、まちの保健室=用語解説=や子ども食堂など、自坊で多岐にわたる実践を始めたと報告した。

 金田氏は、ピース訪問看護ステーション(宮城県栗原市)の阿部太哉氏と共に登壇。東日本大震災を機に広がった傾聴移動喫茶カフェデモンク=用語解説=を中心に、地元の診療所や生活困窮者の支援団体などと多彩なネットワークを構築していると紹介した。

 参加者からは「地域包括ケアの根本を考え直す機会になった」「もっとこのような研修が必要だと思った」などの感想が寄せられた。

 シンポジウムを企画した県看護協会の及川真喜子・訪問看護推進部長は「訪問看護の現場では、看取りに際して宗教者が必要と感じることがある。いてもらえれば私たちも救われると思う」と指摘。「看護師とケアマネジャーが、こうしたことを考えるきっかけづくりになったのではないか」と話した。

【用語解説】地域包括ケアシステム

 誰もが住み慣れた地域で自分らしく最期まで暮らせる社会を目指し、厚生労働省が提唱している仕組み。医療機関と介護施設、自治会などが連携し、予防や生活支援を含めて一体的に高齢者を支える。団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに実現を図っている。

【用語解説】まちの保健室

 学校の保健室のように、地域住民が健康などさまざまな問題を気軽に相談できる場所。図書館や公民館、ショッピングモールなどに定期的に設けられ、看護師らによる健康チェックや情報提供が行われる。病気の予防や健康の増進を目的に、日本看護協会が2001(平成13)年度から展開している。

【用語解説】カフェデモンク(宗教全般)

 2011(平成23)年の東日本大震災を機に始まった超宗派の宗教者による傾聴移動喫茶。コーヒーやスイーツを振る舞い、人々の心の声に耳を傾ける。曹洞宗通大寺(宮城県栗原市)の金田諦應住職が考案し、僧侶や修道士を意味する英語のモンク(monk)と文句、悶苦の語呂合わせで命名した。全国の災害被災地や緩和ケア病棟など14カ所に広がっている。

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