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落語で息抜き「親なきあと」相談室

2023年4月20日

※文化時報2023年3月3日号の掲載記事です。

 ひきこもりの子や障害のある子の親たちに、お寺でほっとひと息ついてもらおうと、一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事)の横浜香仙院支部(畑智晃支部長)は2月19日、横浜市鶴見区の天台宗寶泉寺(横溝常之住職)で初の「親あるあいだの語らいカフェ」を開いた。支援者を含む11人が参加し、春風亭昇吉氏の落語を楽しんだ後、思い思いに語り合った。

「語らいカフェ」で落語に聞き入る参加者たち
「語らいカフェ」で落語に聞き入る参加者たち

 昇吉氏が披露した落語は人情噺の「子別れ」。酒と女が原因で妻子と別れた男が、心を入れ替えて暮らしていたところ、子どもと道でばったり会うところから物語が展開する。参加者らは、真打ちの昇吉氏が繰り出す迫力ある話芸を、約30分にわたって堪能した。

 落語に先立ち、昇吉氏が小野木代表理事にインタビューする形で動画投稿サイト「ユーチューブ」の収録が行われ、小野木代表理事は「親なきあとの問題は、解決したら終わりではなく、生涯寄り添ってくれる人が必要。宗教者こそふさわしい」と訴えた。

会の冒頭には小野木代表(左)に昇吉氏がインタビュー
会の冒頭には小野木代表(左)に昇吉氏がインタビュー

「心のねじ緩めて」
不登校経験の僧侶・畑氏

 今回、「親あるあいだの語らいカフェ」を開いた横浜香仙院支部の畑智晃支部長は、自身もひきこもりの経験がある。小学校低学年から短期間の不登校を繰り返し、中学1年の3学期からは全く学校に行かなかった。勉強に付いていけなくなったのが理由だったという。

 社会復帰のために露店で働くなど、さまざまな苦労を重ねたが、縁あって僧侶になることができ、介護福祉士の資格も取った。今では和宗香仙院横浜出張所で法務を行いながら、川崎市幸区で住宅型有料老人ホームを運営している。

畑智晃支部長
畑智晃支部長

 この日は、同じく福祉職でひきこもりの経験がある堀内志乃さんも参加した。「気軽に相談できることが大事。行政だと担当者が変わると一からやり直しになるが、地域にはお寺や教会がたくさんあり、継続して相談にのってもらいたい」と期待を寄せた。

 堀内さんの夫で、居場所づくりや若者たちの自立支援を手掛ける「よこはま東部ユースプラザ」の社会福祉士、和彦さんも「生死は誰にでも関係する問題であり、お寺や教会は誰もがお世話になるコミュニティー。お寺と教会の親なきあと相談室をもっと広めていくべきだ」と話した。

会場の天台宗寶泉寺
会場の天台宗寶泉寺

 語らいカフェの場所を提供した横溝常之・寶泉寺住職は「温かくて素晴らしい会。敷居を低くしてこのような場が持てるのは、お寺としてもうれしい」。畑支部長は「ゆるゆるとした集まりにしたい。何も話さずただ座っているだけでもいいので、来てくれた方が心のねじを緩められる環境をつくりたい」と話した。

 次回は5月27日午後2時から、寶泉寺で開催予定。問い合わせは、お寺と教会の親なきあと相談室横浜香仙院支部(044―588―7682)。

 

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