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市民と行政、お寺がつなぐ 東海初の語らいカフェ

2023年6月21日

※文化時報2023年5月19日号の掲載記事です。

 障害のある子やひきこもりの子の親たちが、自分が面倒を見られなくなる「親なきあと」の問題について語り合えるようにと、愛知県岡崎市の真宗大谷派本光寺(稲前恵文住職)は9日、「親あるあいだの語らいカフェ」を開いた。市内や近隣の当事者家族と支援者、行政関係者ら24人が参加。成年後見制度や子どもの学校生活など幅広い話題について、互いに話をしたり聞いたりした。

お寺と教会の親なきあと相談室と、ふぁみりーあったか保健室ののぼりが掲げられた境内
お寺と教会の親なきあと相談室と、ふぁみりーあったか保健室ののぼりが掲げられた境内

 語らいカフェは、一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事、京都市下京区)が各地で開催を呼び掛けている行事で、東海地方で行われるのは今回が初めて。本光寺は同財団の支部を開設しており、4月に親なきあとをテーマにした講演会を開いて準備を進めてきた。

 この日は、重度の知的障害がある長女の母親でもある同財団の藤井奈緒理事兼アドバイザーを囲む形で進行した。

 参加者らは門徒会館の畳敷きの広間で、セルフサービスのコーヒーやお菓子を味わいながら、立場の違いを超えてざっくばらんに語り合った。

 会館のロビーでは看護師のボランティア団体「One Nurse」(ワンナース、時任春江代表)が「ふぁみりーあったか保健室」を開催。看護師4人がストレス測定を行いつつ、参加者の健康相談に応じていた。

 次回の語らいカフェは7月3日午後1~3時に行われる。

ストレス測定を行う看護師ボランティアら
ストレス測定を行う看護師ボランティアら

つながり、安心できる場に

 親あるあいだの語らいカフェは、昨年6月から全国の寺院で相次ぎ開催されている。コンサートなどのイベントを用意するところ、他の分かち合いの会と同時開催するところ、何げない話や談笑に終始するところなど、形態はさまざまだ。

 共通する目的は、お寺や教会として、当事者家族に安心してもらえる場をつくること。親なきあとを巡る問題はお金や仕事、住まいなど多岐にわたる上、不安や問題を抱えていても、どこに相談すればいいか分からない場合が多い。そうしたときに、誰かとつながり、誰かに話を聞いてもらえるようにする狙いがある。

 自閉症と中度の知的障害のある小学6年の息子がいる岡崎市内の兵藤泰司さん(47)は、家族同士の集まりに苦手意識を持っていたが、お寺なら行きやすいかもしれないと思い参加したという。「私の話を聞いていただけたし、他の方のお話も聞けたので、仕事の都合をつけて来て本当に良かった」と振り返った。

畳敷きの広間で語り合う参加者たち
畳敷きの広間で語り合う参加者たち

 本光寺の特徴は、行政や公的機関が取り組みに理解を示すだけでなく、こうした場を必要と捉えている点にある。この日も岡崎市と岡崎市社会福祉協議会、地元のむつみ地域包括支援センターから職員が訪れ、語り合いの輪に加わった。

 岡崎市ふくし相談課の齊藤哲也課長は「どこに相談すればいいか分からないとう声があるのは、行政の反省すべき点でもある。気軽に相談できるこうした場がたくさんあるといい。心ある人たちの草の根の活動を支援したい」と力を込めた。

 岡崎市社協の社会福祉士、笹本香代子さんは「居場所は一つでも多い方がいい。お寺はほっこりできる居心地のいい場なので、とてもありがたい」と話した。

岡崎市の職員らと次回の打ち合わせをする稲前住職(右)
岡崎市の職員らと次回の打ち合わせをする稲前住職(右)

 稲前恵文住職は「いろいろな方が参加されたが、他にはない場になり、皆さん喜んでくださったのではないか。市民と行政のつなぎ目としての役割を果たせれば」と語った。

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