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互助で孤立防ごう 愛知のお寺で親なきあと講演会

2023年5月4日

※文化時報2023年4月18日号の掲載記事です。

 愛知県岡崎市の真宗大谷派本光寺(稲前恵文住職)は9日、障害のある子やひきこもりの子の世話を親ができなくなることに備える「親なきあと」に関する講演会を開いた。地元や名古屋、岐阜などから当事者家族と支援者ら約40人が参加。自分たちに今できることは何かを考えた。

講演会が行われた本光寺の本堂。国登録有形文化財に指定されている
講演会が行われた本光寺の本堂。国登録有形文化財に指定されている

 一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事)の支部開設記念講演会。本光寺は愛知県内で初の支部となっており、財団のサポートを得ながら、親なきあとを巡るさまざまな相談に対応している。

 講演会は、重度の知的障害がある長女の母親でもある藤井奈緒理事兼アドバイザーを迎えて行った。藤井理事は「障がいのある子やひきこもりの子のご家族に 知ってほしい『親なきあと』のこと」と題し、「親の代わりは存在しないが、親にしかできない備えはある」と語り掛けた。

藤井奈緒さんの講演に聞き入る参加者ら
藤井奈緒さんの講演に聞き入る参加者ら

 財産の残し方などについて、実際の相談例を基に説明した上で「子の人生を支えるのに、制度や契約だけで十分だろうか」と問題提起。孤立せず、いざとなったら助け合う「互助」の関係を築くことが重要だと指摘した。その上で、支援の必要な子にとって公的制度がほとんど整っていない看取(みと)りや弔いをはじめ、さまざまな困りごとに「お寺や教会がずっと寄り添ってほしい」と述べた。

 岡崎市内に住む安井康江さんは、自閉症で重度の知的障害がある27歳の息子がいる。「たくさん教えていただいて、前向きな気持ちになった。お寺には解放感があるし、こういうイベントをすれば地域に開くという役割を果たせるのではないか」と話していた。

岡崎市後援 行政も期待

 お寺と教会の親なきあと相談室のイベントに、地元の福祉関係者が連携・協力する例は多い。行政がバックアップするケースも見られ、宗教・宗派を超えた活動として地域に受け入れられている。

 昨年10月に神奈川県逗子市の高野山真言宗佛乘院(齋藤真佑住職)が開いた「お寺で休息~親あるあいだの語らいカフェ」は、逗子市社会福祉協議会が共催し、逗子市が後援に名を連ねた。

 今回の本光寺での講演会も、岡崎市と岡崎市社会福祉協議会、地元のむつみ地域包括支援センターなどが後援。開会に先立ち、岡崎市ふくし相談課の寺西京子副課長があいさつに立った。

岡崎市ふくし相談課の寺西副課長も訪れ、あいさつに立った
岡崎市ふくし相談課の寺西副課長も訪れ、あいさつに立った

 寺西副課長は文化時報の取材に「われわれ行政だけだと、平日の日中に対応が限られたり担当者が異動したりと、十分に行き届かないことがある。大事な取り組みなので、今後も相談してもらえれば」と話した。

 むつみ地域包括支援センターの主任ケアマネジャー、福田さきえさんは「お寺が情報提供をしていただけるのは、大変心強い。お手伝いさせてほしいし、私たちも居場所づくりや地域に出向く活動をしていく」と語った。

 次回は5月9日午後1~3時に「親あるあいだの語らいカフェ」を開催。看護師のボランティア団体「One Nurse」(ワンナース、名古屋市)が協力し、ストレス測定などの健康相談「ふぁみりーあったか保健室」も開く。

稲前恵文住職
稲前恵文住職

 稲前住職は「来られた時と帰られる時とで、皆さんの表情が明るくなっていたので、講演会を開催して本当に良かった。いろいろなつながりの中でアドバイスを受けながら、相談室を開かれた場にしていきたい」と話している。

 

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