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寺子屋に中学生ボランティア 浄土宗願生寺

2023年7月24日

※文化時報2023年6月13日号の掲載記事です。

 大阪市住吉区の浄土宗願生寺(大河内大博住職)で進める居場所づくりの取り組みが、地元中学校も巻き込んだ町づくりに発展しつつある。大阪市立墨江丘中学校の生徒が、先月からボランティアで参加するようになった。中学生も地域の一員として活動すべきだと考える林憲治郎校長の発案で、林校長は「教育のスペースから出て、いろいろと体験することが必要」と話している。(大橋学修)

 願生寺では2021(令和3)年7月から、子ども食堂=用語解説=と「寺子屋さっとさんが」を毎月開いており、親子が集う場としてお寺を開放している。子ども食堂は近隣の喫茶店を借り、ボランティア団体「こども食堂『にじっこ』」の協力で実施。食事を終えた子どもたちは、願生寺で行われる寺子屋を訪れ、大学生ボランティアに勉強を教えてもらい、世代を超えて遊びに熱中する。

 5月15日にボランティアとして初参加した中学生は、子ども食堂で配膳や案内係を担い、自分たちも食事を済ませた後、願生寺で幼児や小学生と交流。年の近いお兄さん、お姉さんとして面倒を見つつ鬼ごっこなどで汗だくになって遊び、境内に歓声が満ちた。

子ども食堂で活動した後に、幼児や小学生と交流する中学生=5月15日、願生寺
子ども食堂で活動した後に、幼児や小学生と交流する中学生=5月15日、願生寺

 参加した女子生徒は「思ったよりも忙しくて楽しい。普段できないことができてうれしい」と笑顔を見せ、生徒会に所属する男子生徒は「時間に余裕があったから来た。交流が魅力に感じる」と話した。

学校外の教育環境

 墨江丘中学校は、生徒たちが地域の一員として防災活動に取り組んでいる。担当する町会ごとに班を分け、災害時の危険箇所を探すフィールドワークや清掃活動を行っているという。その一環として、住民が世代や立場を超えて交流する願生寺の活動に着目した。

 林校長は「日本の教育は大人が主導する先導型だが、本来は大人がコーディネーターとなって気付きを促すサポーター型であるべきだ。いろいろな大人と関わる中で、少しでも気付きがあれば、子どもたちは成長する」と話す。

 今年4月に地域の小学校を離任した教員も、終業後に自転車で30分ほどかけて願生寺を訪れ、元教え子たちと再会した。子どもたちにとっては、慣れ親しんだ先生と話せる機会とあって、テスト勉強などについても相談していた。

 この教員は「学校を離れてもつながり続けられることはうれしく、私自身の癒やしにもなっている。大人になれば、グラスを交わす時が来るかも」とほほ笑んだ。

【用語解説】子ども食堂

 子どもが一人で行ける無料または低額の食堂。困窮家庭やひとり親世帯を支援する活動として始まり、居場所づくりや学習支援、地域コミュニティーを形成する取り組みとしても注目される。認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の2022年の調査では、全国に少なくとも7331カ所(速報値)あり、宗教施設も開設している。

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