2024年2月29日
※文化時報2024年1月23日号の掲載記事です。
お寺と教会の親なきあと相談室横浜香仙院支部(畑智晃支部長)は14日、横浜市鶴見区の天台宗寶泉寺(横溝常之住職)でトークイベント「気づきの交差点」を開いた。かつて不登校・ひきこもりを経験した僧侶の畑支部長が、仏教との出会いや生きる支えなどを語り、参加者14人で感想を分かち合った。(主筆 小野木康雄)
イベントは、障害のある子やひきこもりの子の「親なきあと」について、当事者・家族や支援者などさまざまな人に関心を持ってもらうのが目的。提供される話題を元に、一人一人が思いや考えを語り合い、気付きを得てもらおうと、今回初めて開催された。
畑支部長はこの日「ケセラセラ なるようになるという生き方」をテーマに話を進めた。中学1年の3学期から本格的な不登校となり、大学病院の小児精神科で割り算の問題を解けなかったことを理由に「生きている価値がない」などと責められた体験を明かした。
また、意味の分からない言葉を繰り返し言うからと精神科病棟に入院させられた中学生が、実は好きなアニメのせりふを繰り返していただけだったという事例を紹介。
自分では言い表せない気持ちを、他人の表現を借りて伝えようとすることは、不登校・ひきこもりの当事者によくあることだと訴えた。
こうしたエピソードを元に、畑支部長は「『学校に行かなくてもいい』と言う人が、発言に責任を持つわけではない。不登校・ひきこもりの人は、自助努力で勉強する必要がある」と指摘。「落ち込むときはとことんまで落ち込む。その上で、自分の楽しいことや好きなことを伸ばす必要がある」と語り掛けた。
加えて、「死んだら取り返しがつかない。まず生きること。なるようになる、なるようにしかならないと思わないと、やっていけない」と強調。毎月1日にいじめ自死者供養会を修していることが、自分なりの不登校・ひきこもり支援だと伝えた。
さらに、自身が声優の國府田マリ子や林原めぐみの歌に救われた経験を元に、「推し」といわれる好きなアーティストや作品から受け取るメッセージを、自分の人生に重ねていくことが大切だと語った。
参加者のうち、不登校・ひきこもりの子がいる家族からは「時間が解決してくれるとアドバイスされることがあるが、それを言われるととてもしんどい」といった声が上がった。また、子どもに質問していたつもりが実は詰問していて、問い方を変えると気持ちを語ってくれたという実例を挙げた人もいた。
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