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できる備えを考える 障害者の親・きょうだい講演

2024年3月29日 | 2024年7月9日更新

※文化時報2024年2月20日号の掲載記事です。

 障害のある子やひきこもりの子の「親なきあと」について考えようと、鹿児島市の浄土真宗本願寺派妙行寺(井上從昭住職)は7日、公開講演会「親あるあいだにできること」を開いた。一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事、京都市下京区)の支部としての活動で、障害のある子の親たちと宗教者、支援者ら約40人が聴講した。

約40人が集まった妙行寺の公開講演会
約40人が集まった妙行寺の公開講演会

 同財団理事兼アドバイザーで、重度の知的障害のある長女(20)の母親でもある藤井奈緒さん(50)と、言語聴覚士で重度の知的障害と自閉症のある弟(26)がいる西野将太さん(37)が登壇した。

 藤井さんは、自身が長女を障害者グループホームに入れた際の葛藤を明かし、「どれほどの思いで、親は子を産んで育てているか…。親の代わりになる人は存在しないが、親にしかできない備えはある」と語った。

 その上で、わが子と自分の幸せのために、「助けて」と言えて一緒に考えてくれる仲間を持つことが大事だと指摘。「私たちは死ぬまで心配している。課題解決型と伴走型の両方の支援者にいてほしい」と語った。

 西野さんは子どもの頃、両親が弟の将来を悲観して心中を考えたことがあったとして、「自分の人生よりも弟よりも、親のことが心配だった」と述懐した。

 また、自身が代表を務める「鹿児島きょうだいの会」への相談事例を通じ、ヤングケアラー=用語解説=への支援で「偉いね」と言うとプレッシャーに感じる子がいることや、話を聴くことが大人の役割であることなどを伝えた。

親の立場で登壇した藤井さん(右)と、きょうだいの視点を紹介した西野さん
親の立場で登壇した藤井さん(右)と、きょうだいの視点を紹介した西野さん

 講演後は、小野木代表理事を司会に、2人の対談と質疑応答が行われた。お寺に期待することとして、藤井さんはお寺と教会の親なきあと相談室による分かち合いの場「親あるあいだの語らいカフェ」の開催を挙げ、西野さんは家族では見つけられない本人の良さを見つけてくれるよう求めた。

 参加した障害のある子の親たちからは「語らいカフェ」を鹿児島でも開催してほしいとの声が上がっており、妙行寺が今後、検討する。

【用語解説】ヤングケアラー

 障害や病気のある家族や高齢の祖父母を介護したり、家事を行ったりする18歳未満の子ども。厚生労働省と文部科学省が2021年4月に公表した全国調査では、中学2年生の5.7%(約17人に1人)、全日制高校2年生の4.1%(約24人に1人)が該当した。埼玉県は20年3月、支援が県の責務と明示した全国初の「ケアラー支援条例」を制定。全国の自治体で同様の条例制定が相次いでいる。

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