2024年8月6日
※文化時報2024年6月18日号の掲載記事です。
障害のある子やひきこもりの子の「親なきあと」について語り合う「親あるあいだの語らいカフェ」が8日、京都市東山区の浄土宗西山禅林寺派良恩寺(小島観修住職)で開かれた。4月に続く2回目の開催で、当事者家族や支援者ら12人が参加。互いの話に耳を傾け合った。
一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事、京都市下京区)が全国のお寺と教会に呼び掛けて行っている事業。宗教施設ならではの落ち着いた空間で、立場の近い人同士が語り合うことで、将来の不安や日頃の悩みを和らげている。
この日は成人したわが子の障害と暮らしぶりについて、母親たちがそれぞれの事情と思いを語った。「あの子を育てることで、修行させてもらっているのかな」「あの子に障害があったから、私の人生も変わり、やさしい人たちに出会うことができた」といった声が聞かれた。
地元の社会福祉協議会や地域包括支援センター=用語解説=の職員、民間の支援者たちも語り合いに加わった。また、休憩時間には小島住職が読経し、希望した人たちが静かに手を合わせていた。次回は10月12日午後1時半から開かれる。
8日の同じ時間帯には、広島県三次市の浄土真宗本願寺派源光寺(福間玄猷住職)でお寺と教会の親なきあと相談室の講演会が行われており、良恩寺とオンラインで交流する一幕もあった。
源光寺は「地域の人と倶に生きたい」と題し、4月から隔月で全4回、専門家を招いた講演会を開いている。この日は特定非営利活動法人光(広島県三原市)の岡田増夫理事長が「健康老後のためのライフスタイル」をテーマに登壇した。
オンラインは講演と質疑応答の間の午後3時から接続し、福間住職が活動について紹介。良恩寺の小島住職は笑顔で応じ、参加者たちは「コロナ禍があったから、こういうつながりもできるようになりましたね」と和やかに手を振り合った。
源光寺の講演会は次回8月17日午後1時半から、お寺と教会の親なきあと相談室理事兼アドバイザーの藤井奈緒氏が「『親なきあと』がくる前に カードを使って考える〝私の〟終活」と題して話す。
【用語解説】地域包括支援センター
介護や医療、保健、福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」。保健師や社会福祉士、ケアマネジャーなどの専門職員が、介護や介護予防、保健福祉の各サービス、日常生活支援の相談に連携して応じる。設置主体は各市町村だが、大半は社会福祉法人や医療法人、民間企業などに委託し運営されている。