2025年6月28日
親子が同じ職場で働くのは、オーナー企業や職人・伝統芸能の世界以外にあまり見られないケースですが、介護の世界ではそう珍しくないようです。
ある介護事業者はここ数年、高校新卒者を10人程度採用しているのですが、そのうち2割ぐらいの親が現職のヘルパーとしてこの会社で働いているそうです。
この割合は、良質な職場かどうかを判断するバロメーターになります。もし、その会社の労務環境や人間関係が劣悪だったりしたら、親は子どもに就職を勧めないでしょう。
また、子どもから見れば、同じ家の中に技術や経験に優れた先輩がいることになります。常にアドバイスや指導を受けることができ、早く成長できるという利点があります。
採用する側としても「親が自分の仕事について、業種・職種・社名だけなく、具体的な仕事内容やその魅力などについてもきちんと子どもに伝えないと、親子入社にはつながらない。コミュニケーション能力があるかどうかなど、スタッフを理解する材料の一つになる」と、メリットを語ります。
とはいうものの、いいことばかりではないようです。
まず、親子げんかなど家庭内でのいざこざが職場に持ち込まれるケースがままあるそうです。また、冠婚葬祭や家族の誰かが感染症になった場合は、2人同時に休みを取ることになります。
そして、親が嫌いな職場の人の悪口を家の中で言うことがあり、それに感化されて子どももその人を嫌いになることが往々にしてあるそうです。このため、「家庭で話題にしてはいけない職場内の話」の具体例を示して注意しているそうですが、なかなか徹底されないそうです。