2024年9月8日 | 2024年9月18日更新
基礎とは生涯を通じての勉強
――生物学者、北里柴三郎(1853~1931)
2024年7月から発行が始まった新千円札に描かれた北里柴三郎。「近代日本医学の父」とも呼ばれる人物です。
彼の功績として特に有名なのが、破傷風菌の純粋培養の成功と血清療法の確立です。
破傷風とは、傷口から破傷風菌が入り込むことによって発症する病気で、当時感染すれば確実に死に至るとされていました。1886年からの6年間ドイツに留学した彼は、破傷風菌の研究を行いました。
破傷風菌について詳しく調べるには、この菌だけを取り出して培養しなければなりません。しかし、破傷風菌は空気を嫌う性質を持っており、培養するときにどうしても他の菌が混ざってしまいました。
彼は酸素を排除できる細菌培養装置を自作し、1889年に破傷風菌の純粋培養に成功。翌年破傷風を予防する血清療法を確立しました。
そんな彼は、学問についての名言を多く残しています。その一つが「基礎は生涯を通じての勉強」です。
基礎をしっかり習得できていないと応用はできません。彼が数々の偉業を成し遂げることができたのは、誰よりも基礎を大事にしていたからではないでしょうか。
彼は「人に熱と誠があれば何事でも達成する」という信念を持っていました。この言葉は以前紹介した緒方貞子さんの「熱い心と、冷たい頭を持て」(https://fukushibukkyo.com/words_to_live/3253.html)という言葉にも通ずるところがありますね。
情熱をもって努力を続け、基礎を固めることによって、冷静に進むべき道を切り開く―。どのような分野でも、重要なことなのでしょう。