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「文化時報」コラム

〈58〉おじさんたちの知恵

2023年12月25日

※文化時報2023年6月13日号の掲載記事です。

 日本一低い山をご存じだろうか? 国土地理院の地形図に山と記載されている中で一番低いのが、仙台市の日和山(ひよりやま)で標高3メートルだ。元々標高6メートルで一番低いとされていたが、1996(平成8)年に大阪市の天保山が山として記載されたため、一時は2番目に低い山となった。その後、東日本大震災で沈下し、一番低い山に戻ったという経緯がある。

 天保山は標高4.53メートルで2番のはずだが、山頂を訪れると、日本で一番低い山であることを知らせる看板が立っている。古い看板を撤去していないだけかと思ったら、三角点のある山では一番低いそうだ。

 ただし、天保山にある三角点は二等であり、一等三角点がある山で一番低いのは堺市の蘇鉄山で標高6.97メートルとなっている。どうやら定義によって日本一低い山が変わるようだ。

 それならばと「自然の山で一番低いのは」と名乗っているのが、徳島市の弁天山で標高6.1メートル。日和山も天保山も蘇鉄山も「山」と記載されてはいるが、人工的に造られた築山だ。その他に「火山で一番低いのは」と山口県萩市の笠山もある。こちらは標高112メートルだから、やっと山らしくなる。

 なぜこんなことを調べたかというと、近隣のおじさんたちと一緒に天保山へ行ってきたからだ。そこにはたしかに「日本一低い山」と書かれた看板と三角点があった。天保山には海遊館という大きな水族館があるので、名前は知っていた。この目で実際に見るといろいろ調べてみたくなったのだ。

 おじさんたちは全員「敬老パス」という優待乗車証を持っている。筆者は340円の運賃を支払って天保山へ来た。おじさんたちは50円で乗車できる。ただし、敬老パスで乗れるのは地下鉄と市バスだけである。

 天保山から無料の渡船に乗りUSJへ着いた。もちろん中には入らない。目の前にJRの駅があるがおじさんたちは乗らない。45分も待って市バスに乗ろうとする。おじさんたちは時間がたっぷりあるので、のんびりした時間を過ごす。

 「100円で小旅行ができて楽しかった」と、おじさんたちは喜んでいる。お金を使わない遊び方を知っている。

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