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お寺と福祉の情報局

訪問介護で頼めること、できないこと

2023年3月3日

 「訪問介護を利用すれば家事を何でもお願いできる」―。そう思っている人はいませんか。実は、訪問介護は想像以上にサービス内容に制限があるのです。

ケアマネージャーに相談する利用者(イメージ画像)
ケアマネージャーに相談する利用者(イメージ画像)

 せっかく訪問ヘルパーが来ているのに頼めないことが多いと、「何のためにサービスを依頼したのか」と疑問を持ってしまいますよね。そこで今回は、元介護福祉士の筆者が、利用者とヘルパーの間でトラブルが起きないよう、訪問介護では「何が依頼できて、何ができないのか」を詳しく紹介していきます。

家政婦のような仕事ではない

 訪問介護は「利用者が安心・安全に在宅で生活ができるよう、必要な支援のみをすること」が目的です。そのため、訪問ヘルパーは家政婦のように家事を行うわけではないことを理解しておく必要があります。

 サービスを利用して時がたつほど、信頼関係ができるため、ついあれもこれもと依頼したくなります。本来の目的以外のことを頼んでしまって「申し訳ないのですが…」と、断られることがあるかもしれません。

 そんな時、「私が頼んだのに断られた!」と怒る前に、契約時に決めたケアプランに載っているかどうかを確かめましょう。依頼に当たっては、「何の目的で依頼しているのか」「どこまでを依頼できるのか」を、確認しておく必要があります。

「身体介護」と「生活援助」

 訪問介護には「身体介護」と「生活援助」という二つのサービスがあります。

 身体介護は排せつ・入浴・食事介助・歩行など要介護者の身体に触れる介助のこと。インスリン注射の準備や服薬の見守りは可能ですが、インスリン注射を打つことや浣腸などの医療行為はできません。生活援助は掃除・洗濯・買い物です。

 要介護度によって、どちらかだけを利用する方もいれば、両方利用される方もいます。事前に要介護者や家族と話し合い、原則はケアマネジャーが「ケアプラン」を作成して、サービス内容を決めます。要支援認定を受けた方は、地域包括支援センターの担当者が行います。

 その後、ケアプランに基づいて、訪問介護サービス責任者が「訪問介護計画書」を作り、手続きを踏んでからお互いの承諾を得た上で、サービスが開始されます。

 その際、プランには、サービス日に行う身体介護や生活援助の内容が記載され、それ以外の介助や家事は基本的に行わないことになっています。

訪問介護で起きるトラブルをご紹介

 実際に利用者と訪問ヘルパーの間で起きたトラブルの事例です。毎週顔を合わせるうちに親身に接してくれるヘルパーに対して、利用者の依頼内容が変わってしまい、トラブルに発展したケースです。

・いつものスーパーには置いてない調味料が欲しいため、「家から離れたデパ地下へ買い物に行ってほしい」と頼んだら断わられた。

 利用者の生活に必要な買い物は、一般的に「食材や日用品」を指します。これらは日々の生活をする上で非常に必要であるものとして購入しますが、それ以外の嗜好品(しこうひん)などはサービス対象外になります。

 サービス開始前に、家から近いスーパーやコンビニはどこか確認をしますので、いつもと違う離れた店への買い物は基本的にはできません。

 実際のところ、訪問ヘルパーは決められた時間内にサービスを終了させ記録を書いて帰ることになっているため、あまり時間に余裕がないヘルパーがほとんどなのです。

・サービスが終了した後、「訪問ヘルパーが帰る方向の病院に行きたいので車に乗せてほしい」と頼み、乗せてもらった

 サービスが終了した時点で訪問ヘルパーに依頼はできません。

 身体能力の維持・向上のために散歩をする援助はあります。しかし、病院に行くなどの自宅を離れてまでの同行サービスが可能なのかは、確認する必要があります。

 また、サービス時間でも訪問ヘルパー個人の車に乗ることは不可です。このケースは利用者と訪問ヘルパー同士が仲良くなり過ぎてしまい、乗せてしまいました。

 後日、別のヘルパーが訪問した日に「今日も病院までお願いしたい」と利用者がお話ししたことで発覚しました。「万が一事故に遭って大惨事を起こしても、誰も責任が取れない」ということが理由の一つとしてあります。

・「生活援助」のみのサービスだが、「爪切り」を依頼したら断られた

 家事のみを依頼している場合、爪切りは身体介護に値するサービスのため、基本的には行えません。転倒した、具合が悪いなど、サービス当日に起きてしまった場合は緊急で臨機応変に対応しサービス内容を変更する場合があります。

 ですが、爪切りだと、一刻を争う事態でない場合は家族や看護師にお願いします。高齢者は巻き爪の方が多く硬くて切りにくいので、素人には注意が必要です。病院を受診し切ってもらいましょう。

依頼内容の変更はケアマネジャーへ

 利用者も訪問ヘルパーも訪問介護サービス中はお互いに気持ちよく過ごしたいものです。信頼関係ができることはとても良いことですが、依頼内容と違うことは頼めません。

 利用者ともめたくないために「今日はナイショね!」と、言うことを聞いてしまうヘルパーがいます。ですが、基本は禁止。

 訪問ヘルパーは同じ介護士がずっと担当するわけではありません。ヘルパーの変更や退職は、残念ながらあり得ます。「前のヘルパーさんは何でも言うこと聞いてくれたのに!」と騒ぐことは、次の担当者にとって迷惑です。お互い気分を害してしまわないよう、何を依頼しているのか、利用者も家族も認識しておく必要があります。

 他にヘルパーに頼みたいことがある場合は、ケアプランの内容を変更する必要があります。ヘルパーではなくケアマネジャーに相談しましょう。

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