2024年1月8日 | 2024年7月8日更新
以前、認知症グループホームの前に使用しなくなった本物のバス停を設置する「バスが来ないバス停」の取り組みを紹介しました。バスを待っている間に入居者の帰宅願望が弱くなる効果が期待できる、という取り組みです。
これを行っている介護事業者によると、バス停にはもう一つ、大きな効果があるそうです。
それは「徘徊(はいかい)している認知症高齢者は、バス停の近くにいることが多い」。認知症になっても、高齢者には「バスに乗ればどこかに行ける」という意識が残っており、自分がどこにいるのか分からなくなったときには無意識のうちにバス停を目指すのだとか。
つまり、「バスが来ないバス停」があれば、もし認知症の人が外出して戻らなかった場合でも、近くを捜せば発見できる可能性が高くなります。
また、近所の人や通りがかりの人が「ここのバス停にはバスが来ない」「認知症の人は無意識にバス停を目指す」という2点を知っていれば、その近くに高齢者がポツンといた場合に、認知症で徘徊しているとすぐに理解でき、警察や家族に連絡するなど適切な対応を取ることができます。
いわゆる「迷子札」など、徘徊する高齢者を発見・通報するツールにはさまざまなものがあります。しかし、見かけた人が「この人は徘徊しているのだろうか、それともただの散歩なのだろうか」と、様子だけで判断するのは難しいものです。下手に声掛けをすると高齢者の気分を害してしまうことにもなりかねません。
このように「この近くにいる人は徘徊の可能性が高い」という目印があれば、声掛けなどの対応もずっとしやすくなるのではないでしょうか。