2024年11月26日
介護が外付け式の老人ホーム、つまりサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームでは、入居者は自由に訪問介護やデイサービスを選択できます。
しかし、ホームの運営者が介護事業も行っている場合は「介護も自分のところを使ってもらいたい」と考えるのが自然です。
その結果、入居者に自社の介護事業の利用を強要する、利用せざるを得ないような状況に持っていくなどの、いわゆる「囲い込み」が発生します。政府が発表した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」でも囲い込みの問題点について言及しており、今後何らかの規制などが行われる可能性があります。
では、実際にどんな形で囲い込みが行われるのでしょうか。
最も多いのが入居契約書に「介護は当社を利用すること」の一文を入れる手法。これはルールとしてはアウトなのですが、ホーム運営者側がそれを知らずに契約書を作ってしまっているケースがあります。
そして、外部の訪問介護会社のヘルパーには洗面所や駐車場を使わせないなどの嫌がらせをするというパターンもあります。外部ヘルパーが仕事をしにくい環境をつくることで、訪問介護会社側から「そちらのホームへの訪問はお断り」と言わせるのが目的です。
中でも強烈なのが、「ホームに浴室を作らない」というケースです。
唯一の浴室は、併設されたデイサービスの中。つまり、入居者は入浴したければ、そのデイサービスを利用するしかありません。老人ホームでは週2~3回の入浴が目安ですから、入居者全員が要介護度に関係なく、週2回はデイサービスを利用する計算になります。ここまで悪知恵が働くのは逆に感心します。