検索ページへ 検索ページへ
メニュー
メニュー
TOP > 福祉仏教ピックアップ > 『文化時報』掲載記事 > ケアマネ研修に僧侶の法話・もしバナ

つながる

福祉仏教ピックアップ

ケアマネ研修に僧侶の法話・もしバナ

2023年1月22日

※文化時報2022年11月29日号の掲載記事です。

 大阪府茨木市のケアマネジャーらでつくる大阪介護支援専門員協会茨木支部(倉田怜支部長)は18日、同市の総持寺いのち・愛・ゆめセンターで研修会「もしバナゲームで考えよう」を開いた。浄土宗安福寺(大阪府柏原市)の大﨑信人住職らを講師に招き、ケアマネジャー18人が死生観を育むことの大切さを学んだ。

法話の後の「もしバナゲーム」は、あちこちで会話が弾んだ
法話の後の「もしバナゲーム」は、あちこちで会話が弾んだ

 「文化時報 福祉仏教入門講座」の講師を務める木村賢普副支部長が、同講座を受講した大﨑住職に持ち掛け、法定外研修として企画した。約30分の法話の後、どんな医療やケアを受けたいかを話し合うアドバンス・ケア・プランニング(ACP)=用語解説=のツールとして開発されたカードゲーム「もしバナゲーム」を行った。

 大﨑住職は法話で、自坊で取り組む介護者カフェ=用語解説=などの活動を紹介。訪れる遺族から「介護が終わって、とても孤独になった」「あの時自分がしっかりお世話をしていれば、まだ元気に生きていた」といった苦悩を聞くことがあると明かし、「今も昔も、生老病死に苦しむ人間の姿は変わらない」と語った。

 また、釈尊の入滅時の様子を伝えた上で、「ありのままを受け入れる」という仏教の教えの先には、人間は独りでは生きられない弱い存在であり、助け合いと支え合いが必要だという考え方があると指摘。僧侶と福祉職が協力して支援に当たることが重要だと訴えた。

苦を傾聴、連携に期待

 研修に参加したケアマネジャーたちは、普段から仏教に親しんでいるわけではなく、法話を聞くのは初めてという人もいた。それでも、普段の業務で利用者や家族と接する際にさまざまな苦に触れることが多いとあって、僧侶との連携に期待する声が相次いだ。

 茨木市内のケアプランセンターで管理者を務める野田佳代さんは「介護者カフェの活動内容が分かったので、利用者や家族に安心して勧めやすくなった。一緒にお寺へ行ってみようという展開になるかもしれない」と語った。

研修でケアマネジャーらに協働を呼び掛ける大﨑住職
研修でケアマネジャーらに協働を呼び掛ける大﨑住職

 50代女性のケアマネジャーは、利用者が亡くなった後、先立たれた家族の位牌(いはい)や遺骨をどうすればいいか分からず、困った経験があるという。

 「永代供養をうたっているお寺でも、檀家が減れば維持できなくなると聞いて驚いたことがある」とも指摘。「研修を受けて、お寺に地域コミュニティーの一員になってもらいたいと改めて思った」と力を込めた。

 社会福祉士の資格を持つ丸山恵子さんは、僧侶によるグリーフ(悲嘆)ケアの可能性に期待を寄せた。つらかった介護を一緒に乗り越えた家族との関係が、利用者の死後に途絶えてしまうことを残念に感じているという。「僧侶は月参りで家族のグリーフケアに当たっている。こうしたケアが充実すれば、自宅で最期を迎えたいという方も増えるのではないか」と話した。

 もしバナゲームの講師を務めた五領・上牧地域包括支援センター(大阪府高槻市)の福井梨恵さんは「仏様にお仕えするお坊さんは、話を絶対に受け止めてくれる保証のある稀有(けう)な存在」と強調。僧侶に対しては「解決できない問題でも、分かってもらえたと実感できるように聞いてあげてほしい」と求めた。

 研修を行った大阪介護支援専門員協会茨木支部の倉田怜和支部長は「私たちケアマネジャーも誰かに話すことで考えが確立し、気持ちが救われる。ぜひまたお坊さんを招いて研修を行い、専門職同士の連携につなげたい」と抱負を述べた。

【用語解説】アドバンス・ケア・プランニング(ACP)

 主に終末期医療において希望する治療やケアを受けるために、本人と家族、医療従事者らが事前に話し合って方針を共有すること。過度な延命治療を疑問視する声から考案された。「人生会議」の愛称で知られる。

【用語解説】介護者カフェ

 在宅介護の介護者(ケアラー)らが集まり、悩みや疑問を自由に語り合うことで、分かち合いや情報交換をする場。「ケアラーズカフェ」とも呼ばれる。主にNPO法人や自治体などが行い、孤立を防ぐ活動として注目される。

おすすめ記事

同じカテゴリの最新記事

error: コンテンツは保護されています