2023年7月26日
※文化時報2023年6月16日号の掲載記事です。
障害のある子やひきこもりの子の面倒を親が見られなくなったときに備える「親なきあと」をテーマにした「親あるあいだの語らいカフェ」が、京都市南区の真言宗泉涌寺派城興寺(上原慎勢住職)で開始から1年を迎えた。開催施設は8カ所に広がっており、それぞれのお寺が特徴を生かして当事者と家族らに寄り添っている。
語らいカフェは、文化時報社が設立した一般財団法人「お寺と教会の親なきあと相談室」(小野木康雄代表理事)の関連事業。昨年6月に全国で初めて城興寺で開催された。
今月4日のカフェには、障害のある当事者や家族ら23人と、僧侶を含む支援者11人が参加。本堂や離れに分かれ、和菓子店から取り寄せたあんぱんやお茶などをゆっくり味わいながら、思い思いに語り合った。看護師のボランティア団体「One Nurse」(ワンナース、名古屋市)による恒例の「ふぁみりーあったか保健室」も同時開催された。
参加者からは「制度や支援者につながる場になっている」「さまざまな人と交流する中で、思いが変化した」などの感想が聞かれた。上原住職は「相談したいことがあっても『こういう機会がないとお寺に来られない』という方もおられた。続けている意義があると感じている」と話していた。
次回は9月3日午後2~4時に行われる。
「親あるあいだの語らいカフェ」には、さまざまなスタイルがある。
城興寺は3カ月に1度開いており、僧侶や支援者による傾聴が主な活動となっている。一方、浄土宗願生寺(大阪市住吉区)や真宗大谷派の聞法道場、あかんのん安住荘(同市平野区)は月1度の開催。参加者同士の分かち合いや情報交換の場となっている。
浄土宗安福寺(大阪府柏原市)や高野山真言宗佛乘院(神奈川県逗子市)は、本堂でイベントを行った後にカフェタイムを設けている。佛乘院と真宗大谷派本光寺(愛知県岡崎市)は、地元の社会福祉協議会や地域包括支援センターが開催に協力している。
天台宗寶泉寺(横浜市鶴見区)を借りて行うお寺と教会の親なきあと相談室横浜香仙院支部や、日蓮宗上行寺船橋別院(千葉県船橋市)も、それぞれ個性を生かして活動している。
語らいカフェを開くには、お寺と教会の親なきあと相談室の支部となることが必要。まず文化時報社が行う福祉仏教入門講座を受講し、宗派を超えて学びと交流を深める福祉仏教全国連絡協議会に参加することが条件となる。
福祉仏教入門講座は現在、第4期を開講中で、第5期は10月から始まることが決まっており、近く募集要項が公表される。問い合わせは文化時報社(075―371―0159)。