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気持ちを聴き合う語らいカフェ 午前も午後も

2023年8月14日

※文化時報2023年6月23日号の掲載記事です。

 障害のある子やひきこもりの子の親が面倒を見られなくなる「親なきあと」について考えようと、千葉県船橋市の日蓮宗上行寺船橋別院は12日、「親あるあいだの語らいカフェ」を初めて開いた。午前と午後の2回行い、遠山玄秀副住職を含めてそれぞれ10人が参加。雨の音を聞きながら、さまざまな気持ちを聴き合い、語り合った。

外には親なきあと相談室ののぼりを立てた
外には親なきあと相談室ののぼりを立てた

 語らいカフェは、一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室(小野木康雄代表理事)が全国の宗教者に開催を呼び掛けている事業の一つ。宗教施設や地域の実情に応じて、開催の形式や頻度を変えている。午前と午後に分けたのは遠山副住職のアイデアで、遠方からの参加者や、学齢期の子がいる親の生活スタイルに配慮した。

 参加者らは「話すことも話さないことも自由」「他の人が話している時は、最後まで聴いて」などの約束事を書いた紙を受け取り、本堂へ。車座に並べた椅子に腰かけ、ボールを受け取った人から順番に話した。

 午前は弔いのこと、午後は家族と自分自身の看取(みと)りの場所などについて語り合った。きょうだいに重度の障害がある東京都内の40代女性は「障害者家族ならではの大変さや喜びを、ざっくばらんに話し合えた」と笑顔を見せ、「孤立しないよう、私の住む地域にも親なきあとの相談ができるお寺があれば」と話した。

上行寺船橋別院の本堂で行われた「親あるあいだの語らいカフェ」
上行寺船橋別院の本堂で行われた「親あるあいだの語らいカフェ」

 これまでに遠山副住職は、流産・死産経験者の分かち合いの会「ポコズカフェ」を30回開くなど、さまざまな場づくりに携わってきたが、語らいカフェは初めてとあって不安だったという。

 当事者や福祉関係者ら多様な立場の人がフラットに語り合えるようにしたことで、雰囲気のある落ち着いた場となった。

 遠山副住職は「皆さんに自分の思いを自分の言葉で話してもらえた。開催してよかった」と話し、「当事者の会や親の会とは違った集まりになったのではないか。個別相談を受けつつ、今後も語らいカフェを開きたい」と話した。

遠山玄秀副住職
遠山玄秀副住職

常設の認知症カフェも関心

 この日の語らいカフェには、船橋市内で常設の認知症カフェを開く一般社団法人エプロンの代表理事、松江由紀さんと介護福祉士の松原マユミさんも訪れた。障害のある子がいる高齢の利用客を支えたいと思い、参加したという。

 エプロンは、都市再生機構(UR)の高根台団地で2020(令和2)年3月から「エプロン高根公団カフェ」を経営。住民の高齢化が進む中、介護サービスを受けていない〝隙間〟の高齢者たちに元気でいてもらおうと、あの手この手で居場所づくりや見守りを行っている。

エプロン高根公団カフェ。団地の高齢者らの居場所となっている
エプロン高根公団カフェ。団地の高齢者らの居場所となっている

 店内では栄養バランスを考えたランチやスイーツを提供し、総菜のテイクアウトやお弁当の宅配も実施。筆文字や手芸といった「大人の部活」も開いている。

 語らいカフェに関して、松江さんは「これまでは人の話を聞くとつい自分と比較していたが、自分がどうしたいのかを見つめ直すきっかけになった」と話した。

 

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