2023年12月1日
※文化時報2023年10月27日号の掲載記事です。
医療や福祉の現場に僧侶が入るビハーラ活動=用語解説=を通じ、僧俗を超えた多職種連携を目指す任意団体「チームビハーラ」が14日、高野山真言宗総持寺(大阪府茨木市)で勉強会を行った。対面での開催は4年ぶりで、福祉職や士業、僧侶ら約30人が参加。障害のある子やひきこもりの子が親から面倒を見てもらえなくなった後にどう生きていくかという「親なきあと」をテーマに、考えを深め合った。
チームビハーラは日蓮宗上行寺別院(千葉県船橋市)の遠山玄秀副住職が2012(平成24)年ごろ、関東で立ち上げた。関西でも福祉職を中心に賛同の輪が広がり、コロナ禍前までは年1回の勉強会を開いてきた。
今回は、一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室の小野木康雄代表理事が問題提起を行い、ファイナンシャルプランナーの鹿野佐代子さんと司法書士の川部智紀さんが現場の実務について紹介。親なきあとの問題に取り組む真言宗泉涌寺派城興寺(京都市南区)の上原慎勢住職が、お寺での活動について語った。参加者らは4人の発表を聞いた後、グループに分かれて意見を出し合った。
上原住職は、無住寺院だった城興寺を再興するため、「いろいろな人が集まる場になってほしい」との一心で活動してきたと述べた。相談者の隣にいて、他の支援者らに思いを伝えるのが住職の大事な務めだと考えるようになったと伝えた。
また、本山と末寺にはそれぞれ役割があり、末寺は実践が重要だと強調。一足飛びに「親なきあと」に取り組むようになったのではなく、全てのいのちに寄り添う場になりたいとの願いを持ち続けてきたと明かした。
【用語解説】ビハーラ活動(仏教全般)
医療・福祉と協働し、人々の苦悩を和らげる仏教徒の活動。生老病死の苦しみや悲しみに寄り添い、全人的なケアを目指す。仏教ホスピスに代わる用語として提唱されたビハーラを基に、浄土真宗本願寺派が1987(昭和62)年に始めた。ビハーラはサンスクリット語で「僧院」「身心の安らぎ」「休息の場所」などの意味。