2023年7月29日 | 2023年7月30日更新
大阪の精神障害者グループホームで、1人の男性入居者が施設職員としても働くことで給与を得る、という取り組みがスタートしました。
この男性は障害の程度が軽く、日中は障害者雇用枠で一般企業に就労しています。給与は手取り13万円程度。一方、ホームの費用は月9万5000円。恋人がいるそうなのですが、これではデートもままならないだろうということで、ホーム運営会社の社長から「よかったら、職員として働かないか」と声をかけたそうです。
主な仕事は、食事の買い出しと配膳。ホームでは夕食に弁当を提供しており、入居者から1食500円を受け取っています。この範囲内で食事を確保するのが彼の役目です。
一般企業で働けるほどですので、買い物などの日常生活は問題なく1人でできます。しかし、抱えている障害の特性上、融通が利かず他人への配慮に欠けるのが難点でした。
ある日も「社長、今日はスーパーで弁当を安く売っていました!」と喜び勇んで帰って来たところまではよかったのですが、280円の値札が付いたままの弁当を配ろうとしていました。
「配る前に値札をはがすとか、弁当自体を安く入手できたのなら、予算内でもう1品お総菜でも買ってくるとか、そう配慮ができればいいのですが…」と、社長は苦笑していましたが、働きぶりに関する他の職員たちの評判は上々。「彼の苦手な部分をサポートしてくれる職員がいるなら、将来はホーム全体を任せてもいいのではないかと思っています」と、信頼を寄せています。
こうした取り組みが広がれば、障害者や要介護高齢者の経済的な自立が進むかもしれません。