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お寺と福祉の情報局

【福祉現場で働こう】訪問介護員の長所・短所

2023年6月7日

 介護の仕事は、デイサービスや老人ホームなどの施設職員になるか、自宅を訪れて支援する訪問介護員(ホームヘルパー)になるかで、環境が異なります。これから訪問介護員になろうと考えている人に、経験のある筆者がメリット・デメリットを解説します。(飯塚まりな)

訪問介護員(イメージ)
訪問介護員(イメージ)

 訪問介護員の特徴は、曜日や時間によって担当する利用者が決まっていることです。

 基本的には単独で行動します。自宅を訪問し、利用者が今の暮らしを続けられるよう、あらかじめ作成しているケアプランに沿って、入浴、排泄、調理などの必要に応じたサービスを行います。

 施設職員と大きく違う点は、資格所持が必須の条件であること。初任者研修(旧ホームヘルパー2級)を修了していることが求められます。

訪問介護員のメリット
①利用者とコミュニケーションが取りやすい

 第一のメリットは、利用者と一対一でしっかり向き合うので、密なコミュニケーションを取れることです。

 施設職員の場合は、次から次へと入居者の対応に追われ、ゆっくり話を聞きたくても時間が取れないことがよくあります。これに対して訪問介護員は、住み慣れた自宅で利用者と話をするので、強い信頼関係ができます。気持ちが打ち解け合うと、仕事がしやすくなり、やりがいを感じられるようになります。

 ですが、無理に話し掛けてストレスが溜まるようであれば、あいさつと体調管理の確認以外は仕事に集中し、ほどよい距離感を保つことも大切です。おしゃべりが好きな利用者も多く、訪問に来ることを楽しみにしている人もいます。とてもうれしいことですが、話に夢中になって時間内にサービスが終わらないようでは、本末転倒です。

②時間の融通がききやすい

 訪問介護員は、時間の融通がききやすい職種です。パートタイマーで働きたい場合は、介護事業所に登録するため「登録ヘルパー」と呼ばれることもあります。

 時間や曜日を指定して働けることもあり、夜間や早朝勤務の難しい子育て中の女性や、仕事から遠ざかっていた人でも取り組みやすい仕事です。

③人間関係が面倒でない

 どの仕事でも人間関係は重要ですが、訪問介護員は施設職員と違って他の職員や大勢の入居者に気を遣うことがないので、気楽な面があります。目の前にいる利用者のことだけ気に掛ければいいというのは、大きなメリットでしょう。

 人付き合いが苦手な人にも、おすすめです。

訪問介護員のデメリット
①決められた時間内に、一人で対応するプレッシャー

 では、訪問介護員のデメリットは何でしょうか。

 訪問介護員は、利用者のケアプランに沿って1人で対応しなければならないため、プレッシャーを感じてしまう人が多くいます。

 最初に利用者の自宅に行く際には、必ず先輩職員が同行し、自己紹介やケアプランの流れを一通り教えてもらえます。ですが、次からは基本的には1人で訪問します。

 ケアプランで1時間と決められていれば、1時間以内に全てのサービスを行うのが原則です。寝たきりの利用者に対し、着替えとおむつ替え、食事の配膳、片付けなどを時間内に終わらせようとすると、慣れるまでは慌ててしまい、思うようにできないこともあります。

 臨機応変で柔軟な動き方が求められます。

②不安定な収入

 施設職員とは違い、収入の不安定さを感じる訪問介護員は少なくありません。時間に融通がきく一方で、タイミングが合わなければ、訪問に入れる件数が確保しにくいこともあります。

 登録ヘルパーが1日のうち複数の利用者宅を回る場合も、空き時間は待機となるので収入になりません。また、利用者が突然入院したり、場合によっては亡くなったりして、サービスが中止となる場合があります。

③移動が負担になることも

 移動手段は車や自転車、徒歩など、訪問介護員によって異なります。

 筆者は一時期、電車を使っていました。乗り換えがうまくいかない場合は、利用者宅の前でサービスの時間になるまでしばらく待っていました。

 雨や風の強い日、暑さや寒さがつらい季節にも、訪問サービスはあります。移動が負担になると、なかなか続けられません。

困ったことはサービス責任者に相談

 訪問介護員になって困ったことや気になることは、事業所のサービス責任者に相談できます。利用者の情報について詳しく知りたいときは、経験豊富なサービス責任者に質問するのが一番です。

 一人で考え込むと、訪問に行くのが憂鬱になります。一対一だからこそ、自分以外に誰もいない現場での報告・連絡・相談は、自分の身を守るためにも必要です。

 筆者は数年前、自分自身のスキルアップのために訪問介護員を選んで入職しました。

 実際には、学んだようにならないことも多々ありました。利用者はさまざまな環境に身を置いており、持病や認知症、元々持っている性格は十人十色。真面目に取り組んでいても、クレームを受けたケースは残念ながら1度や2度ではありません。

 高齢者だけではなく、精神障害を持つ若者や子育て中の外国人の自宅を訪問し、掃除や買い物の同行、調理を行ったこともありました。毎週顔を見るたびに、できるだけ話を聞いて、不安な気持ちに寄り添うよう心掛けてきました。

 そのおかげで、筆者は自然と精神障害の分野を知ることになり、視野を広げることができました。施設職員のまま仕事を続けていたら、知らなかった世界でした。

 「少しでも介護の技術を上げたい、力をつけたい」と思う人なら、確実にスキルアップができます。勇気を出して挑戦してみてください。

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