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子どもも高齢者も支え合い 西照寺介護者カフェ

2022年9月1日

※文化時報2022年6月17日号の掲載記事です。

 大阪市天王寺区の浄土宗西照寺(正木唯真住職)は6日、「てらともカフェ」と題した介護者カフェ=用語解説=を初めて開いた。お寺の中で〝寺友〟をつくってほしいとの願いを込めた取り組み。介護に直接関わる人だけでなく、寺子屋や語学教室など、西照寺で行われる他の行事の参加者も顔を見せ、福祉関係者からは「いろいろな人が、ケアラーをケアしてくれた」との声も聞かれた。(大橋学修)

西照寺には地域に住むさまざまな人が出入りする
西照寺には地域に住むさまざまな人が出入りする

 参加したのは、ボランティアで子どもたちの学びの場「寺子屋Teller(テラー)」を運営する大阪教育大学1年の岸崎泰成さんや、正木住職の知人で大人の語学教室「Panda英語アカデミー」を開く大西里美さんら約20人。いずれもお寺という場の持つ魅力を知っている人たちだ。

 この日は、東京都健康長寿医療センター研究所の岡村毅(つよし)医師が「認知症ケアの最前線」と題して講演。続いて、運営に協力する天王寺区社会福祉協議会や地域包括センターの職員らがファシリテーターを務め、介護への思いを語り合うグループトークを行った。

 子育て中の女性が、将来自分が直面する介護について学ぼうとしたり、日本語が不自由な中国出身の参加者の通訳を、語学教室の大西さんが担当したり。傍らでは寺子屋の岸崎さんが参加者の子どもを預かっていた。

 通常の介護者カフェよりも幅広い層から参加者があっただけに、天王寺区社会福祉協議会職員の市林麻依さんは「最初はどの方向に話が向かうのか心配だった。ケアする人を支えることがケアの向上につながることは学んでいたが、それを改めて感じさせられた」と語った。

住職不在で動くお寺へ

 正木住職が、多様な人々が集まる場をつくろうとしているのは、ブラジル開教区で活動した経験に基づく。ブラジルでは、さまざまな世代のメンバーが開教寺院に集まり、自発的に社会貢献活動に取り組んでいた。

介護者カフェについて説明する正木住職
介護者カフェについて説明する正木住職

 住職主導ではなく、地域の人々がお寺で自由に活動してくれればいいのではないか。そう考えて、寺子屋や語学教室の運営者には、いつでも本堂と客殿に入れるよう、鍵を渡してある。正木住職の仕事といえば、「たまには整理整頓しなさい」と小言を口にするぐらいだ。

 地域の人々が互いに支え合うためには、介護者カフェもまた、お寺に出入りする人々が主体的に運営する方がいいという。「お寺は住職のものではなくみんなのもの。私がいなくても勝手に動いていくことが大事」と正木住職。いずれは、寺子屋や語学教室との同時開催を検討するという。

【用語解説】介護者カフェ

 在宅介護の介護者(ケアラー)らが集まり、悩みや疑問を自由に語り合うことで、分かち合いや情報交換をする場。「ケアラーズカフェ」とも呼ばれる。主にNPO法人や自治体などが行い、孤立を防ぐ活動として注目される。

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