2023年12月18日
介護ヘルパーの中には、高齢者やそれに近い年齢の人も少なくありません。介護業界全体が人手不足であること、生きがいや体力づくりなどを目的に働きたい高齢者が増えていることなどを考えると、今後その数は増えていくと思われます。
大阪市内のある高齢者住宅で働くAさんは60代の男性。50歳近くになって仕事の先行きに不安を感じたため、ヘルパーをしていた妻の勧めで全くの異業種から介護業界に転じました。
転職に際して心配していたのが、若いスタッフとのコミュニケーションがとれるのかということでした。Aさんの前職は技術職。あまり職場での会話は重視されていませんでしたが、介護の現場ではそうはいきません。
「女性スタッフは特に、30歳も年上の男性には話し掛けづらいだろう」。そう考えたAさんは、自分から積極的にあいさつと世間話をするようにしました。特に、新しく入社した職員に対しては「自分自身が『介護の職場は人間関係がギスギスしている』という悪いイメージを持っていた」ことから、1日でも早く職場に慣れてもらおうと、努めて雑談をしたそうです。
今では職場で一番のベテランになり、若いスタッフからもプライベートな面も含めて相談などが寄せられます。
しかし、困ったのが「若い人たちが使っている言葉の意味が全く分からないこと」。今では30代と20代の2人の息子さんに、その日職場で聞いた言葉の意味を尋ねるのがAさんの日課になっているとか。「この年になると、子どもとの会話も少なくなるのが自然でしょうが、おかげで以前よりも会話が増えています」と、介護での仕事が家庭円満にもつながっているそうです。