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福祉あるある

毎日「出勤」しようとする入居者をなだめた名演技

2022年9月17日

 介護職に必要なものは何でしょうか?介護に関する知識や技術、思いやりやおもてなしの心、コミュニケーション力、チームワークなどさまざまなものがあるでしょうが、「演技力」も大切かもしれません。

運転手付きの車(イメージ画像)
運転手付きの車(イメージ画像)

 都内の高級有料老人ホームでは、ある入居者の「出勤」がちょっとした問題になっていました。この入居者は、以前は大手企業の社長を務めており、運転手付きの車で通勤していました。もちろん、今は引退しているのですが、認知症となった本人の中では、今でも自分は社長。毎日朝になると、スーツを着てカバンを手に出勤しようとします。

 「玄関に車が来ていない」「運転手はどこに行った」とひと騒動。スタッフがほかの話題を振るなどして気を紛らわせようとしますが、なかなかうまくいきません。

 この事態に対し、ホーム側が考えたのが「いっそのこと、出勤させたらどうだろうか」。つまり、玄関にそれっぽい車を用意して、誰かが運転手役になって車に乗せれば満足するのではないか、ということです。

 しかし問題は「誰が運転手役をやるか」。運転手は中年や初老の男性といったイメージが強く、スーツか制服を身に着けています。ポロシャツ姿の介護スタッフでは、どうにも運転手らしくありません。

 結局、白羽の矢が立ったのは、このホーム運営会社の社長。社長自身がホームの玄関前で、出勤する「社長」を出迎えるようになりました。

 しかし、実際に車に乗ったところで行く当てがある訳ではありません。ドライブ中に事故に遭っても困ります。そこで、車に乗る前に一言付け加えることにしました。

 「社長。本日は日曜でした。会社はお休みでございます」

 この一言で「社長」はきびすを返し、部屋に戻っていくそうです。

 

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