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お寺と福祉の情報局

「大変そう」の先入観捨てて 現場の面白さ伝える

2022年9月4日

 明るい黄色を基調としたA5判の冊子。写真やポップなイラストが大胆にあしらわれ、一見するとイベントのフライヤーやおしゃれなガイドブックのように見えますが、実は福祉職場の魅力を発信する若者向けフリーペーパーです。

フリーペーパー『きょうとフクシのシラセ BRIDGE(ブリッジ)』第1~5号
フリーペーパー『きょうとフクシのシラセ BRIDGE(ブリッジ)』第1~5号

 フリーペーパー『きょうとフクシのシラセ BRIDGE(ブリッジ)』は、2019年度からこれまで第5号まで発行されました。福祉職場と若者の“架け橋(=ブリッジ)”になることを目指して、さまざまな切り口で福祉職場の魅力を発信しています。テーマもさまざまで、第1号から第3号は「衣」「食」「住」の観点から、第4号は「福祉のイメージと実際」、第5号は「福祉の仕事に携わるわたしたち」となっています。

 例えば、「食」がテーマの第2号では、「食べることを考えてみた~103歳初めてのアイスクリーム」と題して、福祉施設の利用者さんが栄養を取るだけではなく、楽しむための食事について、施設ごとの多様な工夫を紹介。第4号では「やりがい」の一言で伝えられがちな福祉の仕事の魅力について、実際にさまざまな福祉職場で活躍する職員が、それぞれの視点から、福祉の仕事の面白さを解説しています。

 そんなBRIDGEの一番の特徴が、「京都の福祉職場の魅力発信プロジェクト」として、実際に京都府内の福祉業界で働く若手職員や、福祉の仕事に興味を持つ学生たちが、自ら企画と編集に携わっていること。さまざまな福祉施設・立場の職員が話し合ってアイデアを出し合い、意見を交わし、原稿を書き、撮影まで行う場合もあるそうです。そうすることで「福祉職場で活躍する職員さん自身のこと」や「福祉職場での面白い取り組み」「福祉施設の地域での役割や関わり」など、福祉職場の今を伝える生きた情報を届けられるのです。

プロジェクトメンバーの垣内さん
プロジェクトメンバーの垣内さん

 社会福祉法人「リガーレ暮らしの架け橋」所属の介護福祉士、垣内詳美(よしみ)さんは、第2号からメンバーとして参加しています。きっかけは、他の法人の職員と一緒に福祉の仕事の魅力を伝える活動に興味を持ったからだそう。「施設外の人との出会いや冊子を作るという体験が、刺激になっています。他のメンバーから聞いた現場での取り組みを、実際に自分の施設にも生かせないか、というアイデアにつながることもあります」と話しています。

 また、垣内さん自身が勤務先で採用活動に関わっているため、BRIDGEの「福祉職場の魅力を若者に伝える」というミッションにも強い思い入れがあります。「『介護の仕事をしています』と言うと『偉いね』と返されることに違和感があって…。福祉や介護は身近にあって当たり前のことなのに、遠い世界の大変なことなのだという既成概念が世間にある気がします」

 垣内さんは、福祉業界に若者を呼び込むためには、出来上がった「福祉」のイメージを壊すことが肝心だと考えています。

 「確かに大変なことはあるけれど、それはどんな仕事でも同じ。福祉の仕事は利用者さんの生活に密に寄り添い、体験や感情を共有し、その人の持つ“良さ”を引き出すお手伝いができる面白い仕事なんです。その面白さを、BRIDGEに載せて伝えられたらと思っています」

 垣内さんをはじめとするBRIDGEの企画・編集チームは、京都府が福祉人材の確保に福祉業界で一丸となって取り組んでいくために実施している「きょうと福祉人材育成認証制度」の上位認証法人の職員たちが中心となっているそうです。

 上位認証法人とは、介護・福祉事業所における人材育成体制や働きがいと働きやすさの構築などの面で先進的な取り組みと実績を持つ「京都の福祉職場のトップランナー」的な存在の法人のこと。京都の福祉業界全体の底上げを図り、人材の確保・育成・定着に向けた魅力ある職場環境づくりを目指す試みの一環として、この冊子が発行されているのです。

 BRIDGEは毎号5千部ほどが発行され、関西圏の大学をはじめ京都府内の行政施設等にも設置、また「BRIDGEウェブサイト」でもご覧いただけるほか、画像共有アプリ「インスタグラム」でもその一部を発信しています。

 次号はどんな切り口で「福祉職場の魅力」を発信してくれるのでしょうか。期待が膨らみます。

 

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